第10話 対決! 蛇と鬼
「観念しなさい。力ずくなら私には勝てないわよ」
だがヒミカの顔から余裕の色は失われていない。
「そんな悠長なことを言ってる場合か? もうあと数分であの男は死ぬぞ」
ニヤリと笑ってそう言うと、ヒミカは突然口から青い霧を
超人的な反射神経で頭を右に避け直撃は免れたが、青い霧の強い刺激臭に顔をしかめる。
その
「くっ!」
倒れ込んだ
「
そう言いかけたその時、激しい衝撃とともに船体がガクンと揺れた。
「きゃっ!」
船の揺れは大きく、
やがて揺れが収まってくると、
初めは何が起きたのか分からなかったが、吹き上がる灰色の煙と目の前の惨状に
船体の一部が爆発し、
なぜこのような爆発が起きたのか分からなかったが、
そこから少し離れた場所では、ルイランと
皆、無事な様子だ。
こちらは大丈夫だというように
再び前方に視線を送ると、ヒミカは甲板の上部に立ち、
「真打ち登場の時間だ。よく見るがいい。
そう言う彼女の背後に巨大な影がせり上がる。
激しい水しぶきを上げながら海の中から悠然と姿を現したのは、一体の巨大な蛇だった。
銀色に輝くその蛇は海面から出ている部分だけでも十数メートルはあろうかという大きさで、泰然と船を見下ろしていた。
ヒミカの顔は
彼女が神と
「貴様の相棒には感謝している」
ヒミカの言葉に不快感を覚え、
「なんですって?」
「あの坊やには、このオロチを復活させるための最後の
「い、
「そこの穴から見てみろ。おまえの男の変わり果てた姿をな」
ヒミカの言葉に
おぼつかない足取りで穴の側に駆け寄り、
そして信じたくない光景を目の当たりにして、その恐ろしさに体を震わせた。
下層では、横たわる男の体にすがりついて白雪が
強い不安と動揺が
「
間違いであって欲しかったが、この一ヶ月ほど毎日見ていたその顔を見間違えるはずはなかった。
横たわり動かなくなっているのは間違いなく変わり果てた姿の
「あの男はかなり多量の霊気を持っていたからな。このオロチ復活のための
そう言ってヒミカは高笑いを響かせた。
だが、そうした話のほとんどは
情報を頭で正しく整理することなど到底出来はしなかった。
だが、そんなことはお構いなしにヒミカは
「己の力で復活させてしまったオロチによって自分の親しい者たちが殺されていく様子を、あの男はあの世からどんな気持ちで見るのだろうな?」
湧き上がる憎悪に
「黙れ……黙れっ!」
怒りのままに立ち上がると、爆発の衝撃で消えてしまっていた
「ご自慢の黒鬼か。いいぞ。オロチの試し斬りの相手として、これほどふさわしい
そう言うとヒミカは大きく飛び上がって、背後にいるオロチの頭の上に着地した。
巨大な蛇の邪神・オロチは、漆黒の大鬼・
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