すぐ目の前にある光に触れようとしたが触れられなかった
まこにゃ
第1話つかむことのできない光
延々、もうずうっと、私は手を伸ばせば触れるんじゃないかと思う距離の光に、
ひたすら懸命に手を伸ばし続けていた。
ただ、何年たっても、その光に触れられることはなかった。
その光に触れられる人間は多分多数であるにもかかわらず、
私にはどうしても触れることができずに、今を過ごしている。
どうしてなのか悩んだ。
ところがふと見ていたテレビの中で、それは紹介されていた。
それが光の正体だった。
何年も、どうして私には1対1なら話せるのに、
1対多数だとだんまりになるのか、
理解できなかった。
1対1だとしても、相手が激高している場合など、
おろおろしてしまう自分がいて、
それがことのほか歯がゆかったが、
どうすることもできないでいた。
「だからこうだって言ってるよね!?」
とか言われようものなら、しどろもどろになって、
パニックになってしまう・・・
私も答えたかったんだよ。
でも言葉がのどまで出てきてはいるけど、
その先までいかなかったんだ。
疾患名がわかってからは、調べまくった。
昔は大人になれば治ると考えられてきたが、そうではないこととか。
情緒障害に含まれるとか。
まだ小学校に行っていたときに、私は初めて発症した気がする。
当時私は生徒会の副会長で、朝礼台に上がって発言する機会があった。
もうその時のことはうっすら覚えてる程度なのだけど。
「・・・・・・・・・・・・」
結局、何を話したのかわからない自分がいた。
嫌な汗をかいていたような気もする。
何でこんなことも言えないんだ私、と、別の「私」が、
守護霊みたいに頭の上から「見ていた」。
それが始まりだった。
何で話せないの?と聞く「私」がいた。
私の場合は、こうやって「書く」ことはできる。
だから書いてる。
ただ、「話す」となると厄介で、これも前に書いたけど、
1対1じゃないとダメなんだ。
1対多数になると、途端に、
額に「私は石です」って書いてありそうな風体になるイメージがする。
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