凄腕『氣功士』にしてバイセクシャルな『何でも屋』シエラは、とある目的の為大陸を渡り目的地へと向かう途中に立ち寄った廃都市にて、『何でも屋』として遺品回収の仕事を請け負う。
仕事先で彼女は、少し早とちりで危機感(主に自分の貞操に対して)の足りないトラブルメーカーな超絶美人、『エルフ』のクラウディアと運命的な出会いを果たす――
やはりこの物語の特徴としてどうしても紹介しておくべき点はその練り込まれた設定。
恐らくは一度現代文明レベルまで発達した後に、突如として大量出現した人類の脅威『魔獣』、災害とも呼ぶべき彼等によって蹂躙された人類の生活圏は縮小、文明も近代レベルまで退化しています。
人類は『魔獣』への対抗手段ともいえる異能の力、『氣功術』と『氣導術』を操り、科学と氣の融合した新しい異世界を作り上げています。
紛れもなく近代文明でありながら、ノスタルジックで退廃的な世界観を味わえる事間違いなしでしょう。。
そして主人公のシエラには、更に奥の手、『異能力』と呼ばれる氣功術や氣導術でも再現出来ない謎の力を有しているようで?
この作品、筆者は特に、練られた設定を上手く活かした戦闘描写を一押しします!
直接的なバトルシーンでの緊迫感は元より、与えられた異能力を巧みに利用した『ジョジョ』や『ハンター×ハンター』を彷彿とさせるような、頭を使った戦闘シーンには思わず魅せられました。
――そして、彼女からの依頼を受ける形で旅を共にする事になったシエラとクラウディア。
美人且つ希少種のエルフである彼女に対して(性的な意味で)興味津々なシエラと、どこかガードが薄く危機感の足りていないクラウディアの関係にも注目です。
本格ハイファンタジー『徒然旅程』彼女達の物語を是非一緒に見届けましょう。
人間の何でも屋シエラと、エルフのクラウディア、ふたりの女性の冒険を描いた物語です。
特筆すべきは、その世界設定でしょう。いわゆる異世界ファンタジーと名乗っているのに、共通設定の上にある「異世界という名を持った同じ世界」が舞台の作品が多くなってしまっている今、作者は本当に、オリジナルの世界を作りあげています。
それは、いわゆる魔法(この世界では氣導術と呼ばれます)やモンスター(この世界では魔獣と呼ばれます)にも及んでいます。
そして、この世界全体にも、まだまだ驚くような大きな秘密がありそうです。
完全オリジナルの設定が多いので、とっつきにくい部分はあるかと思いますが、丁寧に描写されることもあり、決して不親切ではありません。
「本物の異世界に飛び込みたい、味わってみたい!」という願いを、この小説は叶えてくれるでしょう。