第4話 あぁ憧れの森ガールマスター

 俺はドクター竹チョンに言われるがまま、ゴッド関シャイニング先輩(前から思ってたけど、名前長過ぎだろう……もうあれだ、関先輩でいいや)を仲間に加え、再び草原へと戻った。めちゃくちゃ遠くに破壊神ムシロがちょろっと見えてるが(さすがに身長10メートルは悪目立ちし過ぎである)、奴はどうやら草をムシって満足そうにしている。そっとしておこう。


「これからどうするんだイチオ? おそらく俺達二人ではまだムシロには勝てんぞ」

 そうだ、その通りだ。ていうかぶっちゃけ何人いても無理じゃね? だってアイツ明らかに戦闘力がチートだぞ。まぁいい。とりあえず、もっとパーティーを増やそう。ある程度増えたら、合コンでもやるか。そして、ゆるふわ系のカワイ子ちゃんに出会って俺はこの世界で第二を人生を歩むんだ、いや、今や絶滅危惧種とも言われる伝説の存在、森ガールを狙うのも悪くない……って、あれ? なんか趣旨変わってね?


「ところでイチオ、これは最初に確認しておかなくちゃいけない。俺達はこれから仲間としてやっていく。幾多の死線を共にすることにもなるだろう。大事な話だ。いいか、よく聞け」

 関先輩からただならぬ気迫伝わってくる。一体何の話なんだ。

「イチオ……お前どんな子がタイプなんだ?」

 お前もかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! お前も趣旨変わってんじゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁ!!

「旅先で女の子に出会った時に、好みが被ってたらまずいだろ! 答えろイチオ!!」

 あれ、俺、この世界に何しに来たんだっけ? 婚活だっけ? 違うよねぇ! 絶対違うよねぇ!!

「まぁでもそうだな。俺は狙っている。そう、森ガールを……!」

「イチオ……アンタ……あの伝説の存在を…….。俺はいにしえの伝承でしか聞いたことがないが。森ガール……本当に実在するってのか!?」

「あぁ。俺はいると信じている。そしてワンチャンあるとな」

「フ、このクソみたいな世界で、お前のような浪漫派伊達男ロマンチック・カウボーイに出会えて光栄だぜ」

 俺達は固く握手を交わした。って何の話してんだ俺達マジで。関先輩ホントに頼りになるのか。今のところただの出会い厨だぞコイツ。


 その時だった。突然の地響きと共に、地面が爆ぜる。

「一体なんだ!?」

 土の中から現れたのは、巨大な芋虫のようなモンスターだ。そうだ、俺は婚活パーティーに来てるんじゃなくて異世界にいるんだった! それにしてもキモいなコイツ! 何がキモいって、コイツ胴体は芋虫だが、顔はどう見ても40代のおっさんじゃねぇか!

「コ、コイツは……鈴木ヘッド!」

「知ってるのか関先輩!」

「コイツがいるってことは、もしや!」

 するとどこからともなく笑い声が聞こえる。

「グワハハハハハ!!久しぶりだな関よ!」

 よく見ると鈴木ヘッドの頭の上に、鈴木ヘッドよりもさらに老けた感じのおっさん、いやもはや初老にさしかかった男が立っていた。

「貴様は西方不敗マスターバリー!!!」

「な!? お前んちにあったダイエットDVDの人か!?」

「その通り! ワシがバリーズブートキャンプの創始者! 西方不敗マスターバリーとはワシのことよ! 関よ、今日こそ引導を渡してくれる、この馬鹿弟子ガァァァァ!!!」

 



 運命のイタズラか。再開してしまった因縁の二人、関とバリー。闘いは避けられないのか? そして鈴木ヘッドの正体とは……? あとなんかこの光景、昔アニメで見た気がする。

次回『機動サラリーマンICHIO』第五話。

「唸れ、シャイニング関パンチ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

機動サラリーマンICTIO 空美々猫 @yumesumudou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ