22、協力

「何者だ? お前たち。ヤンガーの仲間か?」

「誰だ? それ」

「では、この街の人間か?」

「いや、俺たちは、ピンカートン探偵社の者だ。調査で、この街に来た。あんたらは?」

「俺たちは、銀行を襲った強盗団を追ってきた。俺は追跡隊を指揮している保安官のオコナーだ」

「そいつらなら多分、出会った」

「どこだ?」

「あそこの大きな納屋でひどい目にあってる。だが今は行かない方がいい。巻き添えを食うぞ」

「巻き添え?」

「信じられないと思うが話を聞いてくれ」

 コールは今までの経緯を話し始めた。


「お前ら、酔ってるのか?」

 話を聞き終わったオコナー保安官は、眉をしかめた。

「そうだったらマシなんだがね」

 コールは、そう言って肩をすくめた。

 彼の話には、いつもは無表情のビショップでさえ、眉をしかめている。たしかにすぐに信じられる話ではない。

「で、あの納屋には、その吸血鬼とかいうバケモノどもがいるっていうのか?」

「納屋だけじゃない。町にもいる」

「どうする? 保安官」

 保安官は少し考えると銃口を下げた。

「ヤンガーの一味とは関係なさそうだ。みんな銃を下ろせ」

 追跡隊のガンマンたちは保安官の指示に従った。

 コールとミッシェルも銃を下げた。

「なあ、保安官。忠告するが、ここからは早く逃げた方がいい」

「そうはいかない。俺たちは一味を捕まえて俺たちの町の金を取り戻さなけりゃならん」

「その強盗一味だって今頃死んてるかも」

「死んでいたとしても銀行の金は取り戻す。あれは、俺の町の人たちが一生懸命になって稼いだ大事な金だ。その金を吸血鬼が横取りしたのならそいつらを殺して金を取り戻してやる」

「だったら、教えとくが奴らを殺すなら心臓を狙うか、頭を撃ち抜け。それ以外の場所に当ってもあのバケモノたちは、死なない」

「他に方法は?」

 二人は顔を見合わせた。

「それはこれから試すところだ。効果はまだわからない」

「あんたらはどうする?」

「仲間が教会に隠れている。戻って連れ出さないと。子供と老人なんだ」

「手助けするか?」

「なら、馬を貸してくれ」

「それなら、あれを使えばいい」

 保安官は、仲間のひとりが手綱を持って二頭の馬を指差した。

「あの馬は、そこらへんうろついていた。一味の馬だと思って連れてきた。こいつらを使えばいい」

「ありがたい」

 二人は馬に跨った。

 コールは、馬を巧みに操ると教会の方向に向けた。

 ミッシェルもそれにならって馬の向きを変える。

「保安官、気をつけろよ。奴らを殺すには心臓か頭だからな」

「ああ、あんたの話が本当ならな」

「すぐ分かるさ」

 コールは、片手にライフルを握ると馬の横腹を踵で叩いて馬を走らせた。

 ミッシェルも後に続いた。途中、ビショップと目があった。

 気に入らない目をしてるな……あいつ

 ミッシェルは直感的にそう思った。




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