23、メキシカンスタンディング

「逃げろ!」

 シモン・ヤンガーと一味はそう叫びながら襲ってくる吸血鬼の群れにコルトを撃ち続けた。

 一味は、射撃を続けながらが入り口まで後退していった。

 弟のトーマスは、傷が痛むのか、足の運びが遅い。

「しっかりしろ! トーマス」

「あ……ああ」

 シモンの声にも力なく答えるトーマスは、淡々と銃に弾を込めていた。

「本当に大丈夫なのか?」

 トーマスは、シモンにコルトを向けた。

「おまえ?」

 放たれた銃弾は、シモンの背後の吸血鬼の頭を吹き飛ばす。

「兄貴こそ、大丈夫か?」

 そう言うと青白い顔をしながらシモンが力なく笑った。

「へっ! よくいうぜ」

「とにかく早く出よう。ここはヤバイ」


 なんとか倉庫の外に逃げ出たヤンガー一味を外で待ち構えていたのは、オコナー保安官たちだった。

「どこへ行く気だ! シモン・ヤンガー」

 オコナーはライフルを一味に向けた。

 追跡隊は一味を取り囲んでいた。

「誰だ!」

 シモンは銃を取り囲む追跡隊に向けた。

「銀行強盗容疑でお前を逮捕する」

 保安官はシモンを睨みながら言った。

「あの街の奴らだな……なあ、こういっちゃ何だが、今はそんな事をしてる場合じゃねえんだよ」

「今日は、よく聞くセリフだ」

 ビショップは、ライフルでシモンに狙いを定めていた。

「お前らはバケモノの事を知らねえ」

「バケモン? お前らもそれを言うのか」

「他にも会った連中がいるな。そいつらの言うことも俺らが言うことも本当のことだぜ」

「強盗がよく言う」

 暗闇の中、不気味な唸り声が聞こえてきた。

「なあ、保安官。話が本当かどうかは、すぐ分かる」

 シモンは、そう言って銃を下げる事はなかった。






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