4)強盗団、街の銀行を襲撃する

 静かな街にいきなり、凄まじい爆発音が響いた!

 何があったのかと、建物の中から様子を見に人々が顔を出している。

 爆発は、銀行で起き、入り口からは土煙が舞い上がっている。

 何か物騒なことがあったのは間違いない。

 野次馬たちは危険と思いながらも好奇心に駆られて集まりはじめていた。


「この野郎! 爆薬の量が多すぎだ! 馬鹿」

 銀行強盗の一味のボスがダイナマイトを仕掛けた部下に怒鳴りつけた。

「金が燃えちまうだろうか! この間抜けめ」

 シモン・ヤンガーは、苛つきながらさらに手下に指示を出す。

「おい! 急いで金を詰め込め!」

 怒り狂うボスに急かされて手下たちは、用意してきたバッグに目一杯、金を詰め始めた。




 銀行の方から聞こえた爆発音に保安官はすぐに異変は銀行だと思った。

 ドナルド・オコナー保安官は、通りに出て様子を伺った。

 野次馬が遠巻きにしている銀行からは凄まじい埃が舞っていて様子は確認できそうもない。

 オコナー保安官は、事務所に戻るとライフルに弾を装填しはじめた。

「俺が先に様子を見てきましょうか?」

 保安官助手が保安官にそう言った。

「いや、トミー。お前も早くライフルを持って俺についてこい!」

 そう言って保安官は、ライフルを持つと事務所から出て銀行へ向かう。

 若い保安官助手も慌ててライフルに弾を装填するとオコナー保安官の後を追った。




 近くまで来ると二人の好奇心旺盛な野次馬が中を覗き込んでいる。

「危ないぞ! 離れろ」

 オコナー保安官は、野次馬二人に言った。しかし、二人はそこから動こうとしない。

「聞こえないのか! 下がってろ!」

 そう言って保安官が一歩進んだ時だった。

 様子を見ていた野次馬が振り向きざまに銃を撃ってきた!

 こいつら仲間か!

 銃声で遠巻きに見ていた町の住人たちは悲鳴を上げて逃げ出した。

 保安官も慌てて遮蔽物のある方へ逃げる。




「保安官たちが来たぜ! いそげ!」

 野次馬のフリをして見張りをしていた仲間が銀行の仲間に声をかけた。

 部屋の隅には客や銀行の人間が縛られて集められていた。

「トーマス! 金は、かき集めたか!」

「ああ、全部、鞄に詰めたぜ、兄貴!」

「よーし! 段取りどうりにいくぞ! 準備はいいか?」

「準備よし!」

「始めるぞ! いいな!」

「わかった!」

 ヤンガーは、ダイナマイトの導火線に火をつけると銀行の外に放り投げた。

 爆発が起き土埃が舞う。

 保安官は、ライフルを下げて物陰に隠れた。

 爆発は続き、銀行の周囲は土埃で見えなくなった。

「くそっ! イカれた連中だ」

 やがて続いていた爆発は止み、静かになった。

 保安官はライフルを銀行に数発撃った。銀行客もいるはずだったので、建物には当てずに威嚇だけの射撃だ。

 しかし、銀行強盗たちの反応は何もない。

 何かおかしい。

 不自然さを感じた保安官のオコナーは、土埃が収まりきらないうちにライフルを構え銀行に近づく。援護について保安官助手が緊張しながら周囲を警戒する。

 埃の中、銀行から誰かが飛び出してきた。

 助手がライフルを向ける。

「待て!」

 それが銀行の客だと気づいた保安官がとっさに銃口を上に跳ね上げた。銃弾は空に向かって放たれた。

「た、助けてくれ」

 中から出て銀行客が言った、

「強盗一味は?」

「あいつら、銀行の裏の壁をぶち抜いて逃げてったよ」

 それを聞いた保安官が急いで銀行の中に飛び込んだ。

 銀行の裏手の壁に大きな穴が空き、走り去っていく馬の一団が遠くに見えた。

「くそっ! やられた!」

 保安官は、吐き捨てるようにそう言った。


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