7)カミノ・レアルの不気味な噂


「カミノ・レアルの町へ行く列車がないの?」

 ミッシェルが思わず口走った。

 ロスアラモスに到着したコールたちは、レアルの街へ行く為の列車に乗り換えようと駅に降りたが肝心の列車が無いのを知った。

「レアルの街への路線は繋がる前に廃線になっていましてね。列車は走っていないんですよ」

 車掌は、申し訳なさそうにそう答えた。

「お客さんたち、どうしてもカミノ・レアルへ行きたいんですか?」

「仕事でね」

「あそこは、ずいぶん前からゴーストタウンですよ。行っても誰もいない」

「仲間が行ったきりなんだがね」

「それはお気の毒に……」

「おいおい、死んだってわけじゃないぞ。連絡が取れなくなったってだけだよ」

「いや、その、ここだけの話……」

 車掌は誰かに聞かれないか周囲を見渡した後、小声で切り出した。

「あの町に行って行方不明になる者は珍しくないんです」

 コールは、眉をしかめた。

「何かあるのか?」

「さあ……」

 車掌は、肩をすくめた。

「とにかく、路線が走っていたことはあったんです。でも、あそこから乗る乗客は誰もいないんです。だから廃線にしたっていってのはわかるんですが、実は、土地に先住民の呪いか何かがあるんで会社が路線を廃止したって噂なんですよ。だいたい、カミノ・レアルの町を通り過ぎてアリゾナへ向かうための線路は、ちゃんと途中まで作っていってんだから」

「じゃあ、線路は途中までで、その後は途切れてるってのか?」

「確か、峡谷の直前までだったかな。橋もしっかり架けてあったんですがね。アリゾナに繋がる線路は、コースを変更させて新たに作ったんですよ」

「手間のかかる話だな」

「まったくです。で、話を戻しますが、お客さんカミノ・レアルの町へ行くのは悪いことを言わないからよした方がいいですよ」

 車掌は、そう言うと自分の仕事に戻っていった。

「汽車はここまでだ」

「いいさ、馬での旅も好きだし」

 ミッシェルが言った。

「まずは、この町で馬と地図を手に入れようか」

「マスタングだったら安く手に入るかもね。それより、学者の先生は馬に乗れる?」

 ミッシェルは、教授にそう尋ねた。

「昔、東欧を馬で旅したことがありましてね。こう見えても馬での旅は、慣れていますのでお構いなく」

 カッシング教授はそう言ってにっこりと笑った。

「しかし、先住民の呪いとは面白い話でな」

「呪いなんてばかばかしいよ」

「ミッシェルさんは、そういったものは信じてはいないのですかな?」

「何かに祈って人を殺せるなんてできるわけない。人を殺すのは、ナイフか銃だよ」

 そう言ってミッシェルは、ガンベルトのコルトを抜いてみせた。

「おい、ミッシェル。失礼なことはするんじゃない。教授は、俺達の雇い主でもあるんだからな」

「あ……ごめんなさい」

「いえいえ、お気になさらずに」

「でも、先生は、学者さんなのに呪いとかを信じているわけ?」

「呪いに限らず、超常現象的なことを論理的に説明できないものか常に考えています。実は、私の専門分野は、そういったものの研究でね」

「へえ……」

 ミッシェルは、感心した。

「学者って、どんなものも研究するんだね」

「何にでも原因と結果があるものです。摩訶不思議な出来事にも何かの原因があるのですよ。私はそれを知りたいんですよ」

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