第48話胸に焚く恋

思ふより

    見しより胸に

          焚く恋を

              けふうちつけに 

                     燃ゆるとや知る


                            建久五年百首


あなたを想うようになり、

今日、とうとう逢瀬となりました。

私が胸に焚き続けてきた恋は

一瞬にして燃え上がったのです。

この想い、あなたは、どこまでおわかりでしょうか。


今までの式子内親王の和歌と、少し違う。

男の立場に立ち、「想いを遂げた」歌のように感じる。


思い浮かぶのは


光源氏と藤壺


薫と女三宮

           

屈折した恋と取るのか、純粋な恋と取るのか。

あるいは、別の意味があるのか。

和歌の世界は、様々に深い。


※古典での「見る」は、男女関係を結ぶ、結婚する等の意味を持つことが多いことから、「見る」を「逢瀬」と訳してみました。   

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