第42話山深く

山深く

   やがて閉ぢにし

          松の戸に

              ただ有明の

                   月やもりけむ


                        前小斎院御百首



深い山の中で


あなたを 待ち続けていたけれど


とうとう その松の戸も 閉じてしまった。


隙間から 差し込むのは


ただ 有明の月の光



深い山に例えられるような寂しさの中に 閉じ込められながらも


ずっと 想い人を待ち続ける


それも あきらめてしまって 松の戸(待つの戸)も閉じてしまった。


それでも 閉めきれない戸の隙間から 有明の月の光



有明の月の光を寂しさの極みと思うのか

あるいは 儚いけれど 希望の光と思うのか


それにしても 希望の光は 儚すぎる。




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