第28話たまには定家
雲さえて
峯の初雪
ふりぬれば
有明のほかに
月ぞ残れる
藤原定家
式子内親王様の晩年、その家司をつとめた希代の歌人、定家の和歌。
この歌は、下手に現代語訳はできないし、一言たりとも崩せない。
「雲さえて」「峯の初雪」「有明」「月」「残れる」まで含めて、本当に繊細にして緊張感のある、冬の朝を蒼白のイメージだけを重ねあわせ、歌を構成している。
その言葉遣いの技術の見事さ、山水画的でもあり、息ひとつ吐けないくらいの緊張感、月が残ったまま明けゆく夜空の動きも表現しつくす。
これほどまでの、文字芸術は、なかなかお目にかかれない。
ただ、これほどの素晴らしい歌にして・・・技巧はともかくとして・・・
幽玄は幽玄なのだけれど・・・
内親王様と比べるのも意味もないけれど・・・
「技術を超えた何か想いのようなもの」
それが、少しだけ、引っかかる。
※家司(けいし、いえのつかさ)
親王・内親王家及び三位以上の公卿・将軍家などの家に設置され、家政を掌る職務
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます