第15話私だけが知る恋心

忘れては

    うちなげかるる

           夕べかな

               我のみ知りて

                     過ぐる月日を

                      

                            (新古1035)


この恋心を知っているのは私だけ


それを 忘れて この夕方も 嘆いている


そんな日が ずっと続いている



「忍ぶ恋」とは、自分の心の中だけに、相手を想い続けること。

それが続くと、相手も自分を想い続けていると錯覚する。

現実と期待の哀しいすれ違い。


夕べは、人を想い、人を待ち、人が訪れる時間。

想いも知らせていない相手 相手の想いもわからない

それなのに それを忘れて 来ると思って待ち続ける

また そのことを思い出し 愚かさと哀しさを自ら嘆く。


紅い夕焼けが消え、漆黒の闇に消える

式子様の恋も赤く燃えているのは式子様だけ

現実は漆黒の闇

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る