第8話庭の月影

風さむみ

    木の葉はれゆく

           夜な夜なに

                のこるくまなき

                       庭の月影


                             (新古605)


寒風が吹き抜けるので


木の葉は毎夜散ってしまう


照らし残すところもないほど


冬の月が庭を照らしている



※あれほど美しかった紅葉も全て、寒風が吹き飛ばしてしまった。 

 今は、真裸となった樹木だけが残っている。

 その樹木を、冬の月の光が、余すところなく照らしている。


 少しぐらいは、風が吹いているかもしれない。

 しかし、静かな夜。

 既に紅葉も全て散ってしまい、その葉も片付けられてしまった。

 そんな、さえぎるものがない庭に

 月の光が降り注いでいる。


 

 その情景そのものが、幽玄を感じさせる。

 式子内親王の後ろ姿もまた、雅の極み。

 

 これも冬の叙景歌として、大好きです。

 


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