第7話つれなかるべき面影

見えつるか

     見ぬ夜の月の

           ほのめきて

                つれなかるべき

                       面影ぞそふ


                            「前小斎院御百首」


あのお方は


お越しになるのでしょうか


お逢いすることなど できないほど


今宵の月は ほのかです


   きっと その月には


冷たい あのお方の面影が 写っていることでしょう


夜の月も暗く、きっとあの人は来ることはない。


どうせ はっきりとは 見えることのない月だけれど


その月には、あの人の冷たい面影が写っているに違いない。



※当時の貴族は通い婚の時代、女君は、ただ待つしかない。

 気まぐれな男君を待ち続ける辛さ、侘しさを、ほのかな月明りを歌に詠みこむことで、典雅に表現していると思います。



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