第6話我が恋は

わが恋は

    しる人もなし

          せく床の

              涙もらすな

                   つげのを枕


                        (新古1036)


私の恋する想いなど


誰も知る人はいない


つげの枕よ


せき止めている床の涙を


もらさないでほしい



※自分の恋心さえ、相手に知られない「忍ぶ恋」

 その秘密を守りたい。

 守ろうとして、涙がこぼれないように

 もれないように、床をせき止めている

 だから つげの枕よ

 私の想いを察して、他人には決して言わないでほしい。


○黄楊(つげ)の枕と、「告げ」の枕を掛けてあります。

 ・古来より、枕は恋の秘め事を知っているという言い伝え


誰にも言えない苦しい想いを胸に秘め、独り寝の寂しさと緊張感に耐えている。

忍ぶ恋の、秀歌と思います。


○一般的には式子内親王様の想い人は、謡曲の影響からなのか「藤原定家」と言われていますが、違います。

年齢も定家が若すぎるし、定家は知る人ぞ知る「偏屈者」


内親王様が、憧れるとなると・・・あの人か、またあの人です。

大方予想はついていますが、天国に行ったら確認をしてみます。

・・・教えてくれないかもしれない。


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