第6話
「遂に第4の部屋、もう少しでガースト神の眠る最奥に着くな……。ミズキ、いつまでふててんだよ」
振り返ると、ミズキは頬を膨らませている。
「……別にふててないもん」
「さっきのまだ気にしてるのか?闘脚士でスカートなんてしてたら跳んだ時や足あげたときに見られるの分かってるだろ。嫌なら丈の長いスカートかズボン履けよ」
ミズキは現実では気性が穏やかでミニスカも穿かない淑女なのに、なぜかLFOの中では性格が反転、しかも俺にだけ厳しい。いや、俺からすれば普段とのギャップが萌えるんですけどね?
「別にアバターの肉体を見られるのはどうでもいいのよ……あんた以外には」
「ミズキ?後半なんて言った?」
LFOではリアルさを追及し、現実の独り言を実現するために、一定以下の音量のボイスチャットは他者に聞こえないよう遮断される。
「なんでもないわよ、ばか……」
「えー……」
ミズキのあまりの発言に、俺が呆れていると。
「どうやら間に合ったみたいだな」
俺達が声の聞こえたほうへ向くと━━。
「……カノンにオウリン!?戻ってきたのか!」
第2の部屋で死んだ二人がいた。
「「待たせたな」」
「帰ってきてくれて嬉しいぜ……嬉しいけど1ついいか?お前達死んだよな?」
「「あぁ」」
「この洞窟まで最短の村から四人で二時間かかったよな?」
「「あぁ」」
「俺達が別れて一時間も経ってないよな?」
「「あぁ」」
「……どうやって帰ってきたんだ?それにここまで来たってことは、他の部屋の試練クリアしたんだよな、二人で」
後衛二人にそんなことできるだろうか?
二人はフッと笑みを浮かべ。
「……ガーストのためならばたとえ火の中、水の中」
「乗り越えて見せるさ……システムの壁くらい!」
「お、お前ら……そこまでガーストのことを……!」
これぞ神の啓示なのか!神は我らに道を示し、奇跡をお与えになったのか!
「お前達の覚悟は分かった!なにがなんでもガースト神を皆でこの目に焼き付け、拝もうぜ!!」
「「おう!!」」
三人で円陣に肩を組み、気合を入れるなか。
「……垢バンされても知らないからね」
ミズキが冷めきった目で、阿呆三人を見ていた。
ロマンシング・サガライチ 《伝説の幽霊作家倶楽部会員》とみふぅ @aksara
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