第34話 真世、しっかりしなさい

ここ二日で「うっかり」を三回やっている


1.コーヒーを机に零す

2.味噌汁を足に引っかける

3.タオルを持たず風呂場に行く


駄目だめ人間。

いや、薬が効き過ぎだと思う。


ポリープの薬も安定剤も、てんこもり。


先生に話したけど、減薬には消極的。


うー、どうしよう。


今日は初、単独院外外出なので緊張もする。


どうしようかな。何買おうかな。


それはそうとて、久しぶりに売店でりえさんに再会した。

やっぱり施設に行くことになったらしい。

皆から頼りにされてるんだよ、と嬉しそうだった。


「頑張ろうね!」


という言葉には閉口したが、まあ、彼女なりの気遣いなのだろう。


頑張る、という言葉はあまり好きではない自分がいる。

人を追い詰める言葉のような気がするのだ。


だから、私はあんまり、頑張ってを使わないようにしてる。


特に鬱ぽい人には。


代わりに「ご多幸を祈ってるから」とか、冗談ぽく「Good Luck!」とか言ったりする。


母は私のそういう気遣いが過ぎるところが、不安なのだと言う。


もっとゆらりと生きなさいと。


ゆらりとしつつ、しっかりするには自分の芯がないといけない。


今の私は「芯」づくりの最中なのだと思う。

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