第33話 小蝿と呼ばれた女

皆から小蝿とら呼ばれている女がいる。


とにかくねちっこい。

人の情報を無理やり引き出してくる。

しかもスピーカー。


カウンセラー真世は皆からすごく相談される。

小蝿、どうしたらいいの? って。


「自分を強く持って、今は話したい気分じゃないんです、て、強く言えばいいんですよ」


私がそう言うと、真世さんは強いから、それが出来るけど、普通は言えないよって言われたりしちゃう。


いや、私は強くなんかないんだよ。

心の中で否定する。


病院を出たら、いろんな人がいる、

ここ(閉鎖病棟)は要するに社会の縮図だ。

監視カメラ。録音機材が揃ってる。

良い人もいれば嫌なやつもいる。

看護師間での、セクハラやパワハラの噂もある。


人間はしょうもない生き物で、それはどこにいても変わらない。


私は確かに少しだけは強くなれたのかもしれない。


でも、それは「大切な人」に手を汚させたくないから、という利己的な理由だ。


私は基本、平和主義なので、今まで誰かに暴力を振るうことは基本なかった。

自分で手を汚すまでもなく。周りが、私の大切な人たちが、助けてくれるのだ。私をいじめる奴はよっぽど性格が悪い、とも言える。


でも、四捨五入すると不惑(40歳)になる今を前にして気づいた。


いい加減、防御や回復技だけではなく、攻撃手段も持たなくては。


今までの二フラムやスカラやホイミしか唱えられなかった自分をバギやザキを唱えられる自分にしないと、きりがない。(ドラクエ知らない人はググッてみて下さい)


皆さまは攻撃呪文持ってますか?

大切な人を守る術はありますか?

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