第32話 カウンセラー真世爆誕

冷やし中華、冷やし中華と言っていたら、母が冷やし中華を朝ごはんに作ってくれた。

絶品だった。


んー、やっぱ母には敵わないなあ。


朝からマロンの散歩に行き、すぐ近くにある薬膳カレーのお店の前で佇むマロンの写真を撮影したりした。


楽しい時間はあっという間に終わる。


戻った途端に、真世聞いてよーと17歳下の子に腕を引っ張られる。


なんか知らないが男性看護師からセクハラ? されたとか。


何かの間違いだろうな、勘違いだろうなー、と思いながら、話をじっくり聴いてあげる。


二時間くらい喋りっばなしの彼女。

私は折を見て茶を汲むが、彼女のマシンガントークは止まらない。


そして祐子ちゃんという子までやってくる。

真世ー撫で撫でしてーと、やってくる。


あのー……私は患者なんですけど。

カウンセラーじゃないんですけど……。


……疲れちまう。


とりあえず部屋に戻って芥川龍之介の「鼻」を読んだら落ちついてきた。


太宰も少し読んだ。


本はいい。優しく迎えてくれ、黙って去ってくれる。


そんなことを思った。


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