第2話入院二日目「試金石」
朝、川俣医師と田中医師が来る。ちなみに、どちらも主治医ではなく若手の補佐医である。
まだ、死にたい気持ちはあるか、考えがまとまらないなどあるか等の質問をされる。
私は死にたい気持ちはもう無い、思考も大分クリアになってきた旨を伝える。
……嘘八百とは言わないまでも四百ぐらいはついている。
しかし、そう言わないことには、これから自分がこの二人の医師から出してほしい許可が下りなくなってしまう。
その許可とは、薬の減量の許可だ。
重いうつ症状、躁状態などには、それだけヘビーな薬が処方される。
私は薬の副作用が出やすいらしく、現在の処方量だと、とかく眠くて堪らないので困っていたのである。
まあ、入院二日目で一気に薬が減るとは思わないが、主張するだけはしておかないといつまでも処方量は変わらないままだから。
薬の減量についてはおいおいやっていきましょうと、にこにこしながら言われる。
入院も三回目なので私も理解しているが、精神科の医者は、入院患者の要望に対し、即座に対応することはまずない。
大体様子を見て、その要望に一貫性があるか、落ち着いて「待ち」の姿勢ができるかを観察しているきらいがある。
まあ囚人みたいなもので模範囚かそうでないかを見極めてからでないと飴は出せない。そういうことなのかな、と自分は思っている。
だから、今回はおいおいやっていこう、というあいまいな言い方にいつですか、なんて詰め寄らないで分かりました、とあっさり引き下がってみせた。
朝食はごはんに味噌汁、高野豆腐の煮つけ、小松菜と人参のおひたし。ふりかけ。だった。
話がそれるが、病院食ってとてもヘルシーなので、院内のレストランで外部のお客様にも今日の病院食として定食みたいに提供したら結構受けると思う。タニタも流行っていることだし。
ちなみに昼ご飯はカレーライス、ブロッコリーとレタスのサラダ。福神漬け、らっきょう。牛乳。オレンジだった。
どうです、美味しそうでしょう?
今日の処方
昨日と同じ。
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