精神科閉鎖病棟任意入院日記
福倉 真世
初めての任意入院編
第1話入院初日「初めての任意入院」
今日、私は精神科の閉鎖病棟に入院する。
これで3回目の入院。
これを最後の入院にしたいと切に思うが可能なのだろうか。
入院の手続きは自分でやるとなると思ったよりスムーズだった。
(1回目と2回目は家族の手を煩わせた)
普通の外来のときと変わらず、まず診察を受ける。
(もちろん以前の診察の時に入院する意思は表明してあり、いついつから入院しましょうね、という医師の同意はとってある)
次に担当の看護士とともに身体の健康状態をチェックする。
CT、レントゲン、MRIなど一通りの検査を受けてから閉鎖病棟のある階に案内される。
三重になったドアをくぐれば、もうそこは閉鎖病棟だ。
自分の部屋(4人入る大部屋である)のベッドまで看護師に連れられ、間もなく、主治医ではなく、補佐医から、問診及び入院に際しての説明を受ける。そして、同意書にサインをさせられる。
同意書には「任意で入院するため、入院期間は自分の意思で決められる」という文言の下に、ただし病状によっては期待に沿えない旨と、その場合は担当医の指示に全面的にしたがっていただくとある。
……まあ、こんなもんだろうとは思っていたが、政治家の答弁みたいだなあという感想。
結局は病院と医師の前にあなたの意思はありませんと宣言されたようなものである。任意とはいったい。
補佐医から今までの病状の変遷について確認したいといわれ、小1時間ほど会話をする。
自分の病状の上がり下がりについて話していると我ながら自分が弱い、ちっぽけな人間に思えてきて、心から情けなくなった。目の前の医師は言うまでもなくエリートである。そんな人に話を聞かせているからか劣等感が刺激されているのかもしれない。
補佐医はわかりました、では後ほどまたといって去っていった。
そんな風に入院の手続きの際はうっすらと緊張していたが、それが済むとあっさりと夕飯までの数時間、猶予が与えられる。
猶予、いや、自由時間、といったほうがいいのだろうか。この、半径1km以内におさまりそうな居住空間で過ごす時間を自由時間と称していいのならの話だが。
一人でいるとだんだんこの隔たれた世界に懐かしみを感じるとともに、つまらない人生を送ってきたのだと恥じ入るような気持ちになる。できるなら氷のように小さくなって溶けて消えてしまいたいくらいだ。
いつか、本当にやりたいことを見つけて自活できるようになりたい。
可能だろうか。
少しずつ心身のリハビリをしていきたい。
夕食のメニュー
煮込みハンバーグ、にんじんグラッセ、粉吹芋、紫キャベツのサラダ、ミネストローネ、キウイ&みかん缶
今日の処方
安定剤A 100mg、安定剤 B18mg
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