雨が降る放課後

須宮 飛遊

第1話 帰宅準備?

「うわぁ、、雨降ってきたよ。最悪。」

俺は友人の柳(やなぎ)と話をしていると、窓際でガールズトークをしていた女子達の一人、萌香(もえか)が空を見上げて言葉を漏らす。

「まじか、拓留(たくる)。お前、傘持ってきたか?俺は持ってきてないけど。」

「持ってきてるよ。、っていうか朝のニュースで雨降るって言ってただろ。」

俺が言うと柳は頭を掻きながら舌を出す。

「てへぺろ、じゃねーよ。ったく、俺の傘使うか?」

「いや、ロッカーの中に折りたたみ傘があるからそれ使うよ。」

「持ってるんかい、、。」

俺は柳にツッコミを入れつつ帰る準備をする。

そんな中女子達は、再びガールズトークで盛り上がっていた。

「見て見て、あそこのカップル、相合傘してるよ、ラブラブだね〜。」

「本当だいいな〜。」

「私は誰でもいいから相合傘したいな〜。」

(今のは美紗(みしゃ)と六花(ろっか)と萌香か。)

俺はそちら側に耳を傾ける。教科書を鞄にしまいながら。

「お前、何を聞いてるんだよ。まさか、女子達の話を盗みぎ、、」

俺は慌てて言葉を被せる。

「違げーよ。雨の音を聞いてるんだよ。」

「ふぅーん。まぁ、そういう事にしといてやるよ。」

「...。」

俺は内心でホッとしつつ再び耳を傾ける。

「それはちょっと、、。」

(、、、!!この声は!?)

俺は声主を探すために女子達の方に顔を向ける。

美紗と六花と萌香と、、

(いた!。)

那緒(なお)がいた。

「でも那緒、今日傘持ってきてないんでしょ?濡れちゃうよ?。」

(!那緒、今日傘ないんだ。これはチャン、、、

「そりゃ、濡れるのは嫌だけど、そうゆうのは好きな人とじゃなきゃ嫌だな。」

、、、ス。、、。)

「那緒ってロマンチストだね。」

美紗と六花と萌香は三人して笑う。でも那緒はじっと灰色の空を眺めていた。

「あーあ。言われちゃったな。って拓留?、大丈夫か?何か相当なダメージが入ってるように見えるけど。」

「ほかっといてくれ。」

俺は机に頭を打ち付ける。

そうしていると、

「おーい。拓留はいるか?」

担任の下山先生が教室に顔を出した。

「拓留なら、そこにいますけど。」

美紗が俺を指差す。

「おぉ、それはよかった。拓留、確か今日日直だったよな。少し手伝ってくれな、おい、大丈夫か?死んだ人みたいになってるぞ?」

俺は顔を上げる。

「いえ、大丈夫です。で、手伝いとは?」

「?。まぁ、大丈夫ならいいか。

これを整理して職員室に運んでおいてくれ。」

そう言って俺の机に溢れんばかりのプリントを置いた。

「、、、えっ。これを全部ですか。」

「そうだ。まぁ頑張れ。」

俺は慌てて抗議する。

「いやいや、職員室なら先生が運べばいいじゃないですか。」

「拓留、」

下山先生が俺の肩に手を置き真剣な目で見つめてくる。

「ど、どうしたんですか?」

「俺は今、どうしても急がねばならない用事がある。それに遅れたら多分俺の命は無い。だから頼む。」

余りの勢いに俺は

「、、分かりました。そこまで言うなら。」

頷いてしまった。そして後悔した。

「ありがとう、これでデートに遅れずに済みそうだよ。それじゃねー。」

下山先生は満面の笑みを残し、消えていった。

「はぁー。仕方ない。悪いけど、柳。

少し手伝ってくれ、な、、い、、、か?

柳?」

そこには先程までいた友人の姿は無かった。

俺は教室を見渡していると

「柳君なら、急いで教室から出て行ったよ。」

六花が開きっぱなしの教室のドアを指差す。

(柳ーーーーーーーーーーーーーーーーーー。)

いくら心の中で叫んでも、友人の返事は無かった。


第二話(終)へ続く。

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雨が降る放課後 須宮 飛遊 @piyu301200

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