【短歌】独楽

工藤吉生(くどうよしお)

独楽



どう生きてゆきたいのかだ回り終え独楽は再び紐を巻かれる


できていることが突然ダメになり二度とうまくはいかない予感


とめどなく行き交う人のいくらかはオレの姿が見えてるらしい


後ろから見れば全員顔がない横から見れば横顔はある


デパートの前で少しも動かない馬が時おり写メを撮られる


音楽を背負った人が乗ってきてしばらく経ってしずかに降りた


妙に重いカバンを探りいらぬもの出して持ち上げればまだ重い


飛んできたテニスボールを投げ返し礼から逃げるように砂利道


太陽が泣いてるマークがあるとしてそんな天気にふさわしい風


秋風にぼんやり思う灰を撒き枯れ木に花を咲かす感触


猫を抱く誰にも会わぬ休日の心の底に敷くワタとして


出会い系サイト広告つきティッシュ ジーンズにひしゃげられておさまる


眠ってる間に解決してほしい枕に今夜も髪は貼り付く


ごまかして逃げ続けても一ミリも離れられない自分自身だ


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【短歌】独楽 工藤吉生(くどうよしお) @mk7911

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