35.雪とともに舞う

 山道に踏み込むと、あたりは急に静まり返った。時折吹く風が、笛の音に似た切ない響きをまとって通り過ぎてゆく。尾を引き、徐々に消えていく高音を聞きながら、六人はひたすら歩いていた。

 襲撃の気配はない。アントンたちが足止めをしているおかげか、最初からこのあたりには誰も潜んでいないのか。道幅は人が二人通れるかどうか、というくらいだから、集団での奇襲には向いていない。ひとまずは安全か、と他人事のように考えながらも、ディランは剣の感触を確かめていた。

「どのくらいで着きますかね?」

 レビがぽつりと呟いた。声とともに吐き出された息が、白く凍って溶けてゆく。

「そんなに高い山じゃないからな。時間はかからないと思う。……でも、気をつけてな」

「油断していると凍死しそうだものね」

 ディランの忠告にマリエットが笑う。笑って言うことじゃない、とぼやいたチトセが、分厚い外套の襟をかきあわせた。

「だいったい、なんでこんなに寒いのよ。この間、水筒の水、凍ったじゃない。信じられない」

「チトセは寒いの、苦手なの?」

「得意苦手の問題じゃない。今まで、こんな寒いとこ来たことない」

 棘をまとった声にも、今は弱々しさが感じられる。北大陸に馴染み切っている人たちは、ぷるぷる震える彼女を見て、苦笑をこぼした。

「だらしないぞー、お嬢ちゃん」

「砂漠で干物になりかかっていたおぬしが言うことではないと思う」

 はやしたてるトランスに、ゼフィアーがぴしゃりと言う。たしなめられた男は、大げさに肩をすくめた。

 その後も会話を差し挟みながら、ゆったりと歩く。やはり、道行きは静かだった。不気味なほどに。そして、これで終わるはずはないと、誰もが薄々わかっていた。だから、気の抜けるようなやり取りをしつつも、あたりを見つめる人々の目に油断はない。

 山の中腹に差し掛かった頃か。やんでいたはずの雪が、また降り出した。ディランは一瞬足を止めて、また、歩きだす。「どうかしたか?」と問いかけたゼフィアーを振り返り、曖昧に首を振った。

 ――吹雪になったら厄介だな。そんなことを考える。自分が本当に感じているのは、そんな他愛もないことではないと、気づいていながら。

 不安というのか。予感というのか。あるいは、安堵というのか。胸をざわつかせるものに、名前を持たせられなかった。ただ、なんとなく、これが最後だろうな、という気がする。それは潮のように満ち引きを繰り返す。だからなかなか消えてくれなかった。

 けれど、幸いというべきか。奇妙な気持ちを持て余す前に、事は動いた。

 山の道幅が広くなってきたところで、うなじのあたりが痺れるのを感じた。ディランはとっさに、剣に手をかける。ゼフィアーたちも気づいたようで、素早く身構えていた。

 耳が痛くなり、胸が締めつけられるほどに果てない時間が通り過ぎる。永遠の一瞬のように感じた、無音の時間の終わりを告げたのは、重いものが風を切る音だった。思いきりよく突き出されたそれが槍だと、ディランは飛びのきながら認識した。不吉に光る槍頭には見覚えがある。

 槍はほどなくして引っ込められ、吸いつくように持ち主の手に戻った。あたりに敵意が満ちる中、それまで岩陰に身をひそめていたのだろう彼は、悠然と一行の前に進み出てくる。頑丈な靴は、かたい地面を踏みしめて、鳴った。

 現れた人を見て、ディランは微笑を浮かべた。いっそ、穏やかとさえいえるくらい、落ち着いている。

「来ると思ってたよ。――カロク」

 水竜に名前を呼ばれた男は、しばらく何も言わなかった。射抜くように六人を見つめていた彼は、一瞬だけ目を閉じてから、口を開く。

「……おまえたちの目指すもの、そのものに、口出しをする理由はない」

「そうか」

「だが、すべてを巻き戻される前に、確かめなければならないことがある。つけねばならない、けじめもある」

「……ああ」

 一触即発の状況でありながら、二人の間には、うそくさいほど静かな空気が流れていた。

 雪が強まる。山道の黒を覆い隠すほどの白が降る。すべての音をかき消す雪の中、人々の息遣いだけがそこにあった。

 ――けれど、ふいに、硬質な音が響く。大きな槍が地面を叩いたのだ。

「言っておくが、通せと言われて素直に通す気は毛頭ない。なんなら、全員でかかってきてもいい。……志を遂げたくば、竜を殺されたくなくば、私を退けてみせろ」

 冷徹な響きと佇まいを前にして、子どもたちが息をのんだ。一方、ディランは深呼吸した。今、彼の言った「竜」が種族をさすのではないと、察していた。であれば、やることは決まっている。ディランはあえて前に出た。

「行け」

 振り向きもせずに言う。背後に、動揺が広がるのがわかった。

「ディラン! ここまで来て何を……!」

「別に、死ぬ気はない。ただ、みんなは先に行って儀式の準備をしてろ、っていうだけだ。その方が早く始められるだろ? こいつはどうも、俺に用があるみたいだし」

 背中を叩いたゼフィアーの声に、ディランは淡々と返す。けれど、さらに、レビとチトセが踏み出してきた。

「何考えてんの? 相手は首領よ」

「そ、そうですよ。さすがに一人だけっていうのは……」

 二人の声が聞こえて、ディランはようやく振り返った。よっぽど冷たい目をしていたのだろう。子どもたちは、続くはずだった声をのみこんで、立ちすくんだ。彼らのおびえを承知の上で、ディランはあえて厳しく続けた。

「俺たちは、こんな山道で誰かと揉めるために、ここまで来たのか? ただ戦うためだけに、旅をしてきたか?」

「そ、それは……」

 レビが口ごもる。ディランは、唖然としている少女へと、視線を移す。心が静まり返る感覚は、ディルネオが常に感じていたむなしさに、少し似ていた。

「ゼフィアー・ウェンデル。おまえが今すべきことは、なんだ」

 彼女は、言葉にして答えることはしなかった。ただ――少しうつむいた後、強い目でディランを見つめ返す。答えとしては、それだけで十分だった。

「行こう。頂上に急がなければな。きっと、みんな、待っている」

「ゼフィー!」

 気丈にほほ笑むゼフィアーに、大人たちは無言でうなずいた。少年と少女は非難の声を浴びせた。今にも怒涛のように反論しだしそうな二人を、トランスとマリエットが、無理やりに止める。女の緑の瞳が、少年姿の水竜を見た。

「お言葉に甘えて、私たちは先に行くわ。もしかしたら、控えているのはカロクだけではないかもしれないし。

 でもね――あなたも、生きのびなさい。どんな手を使ってでも生きのびて、私たちに追いついてきなさい」

 いいわね? と、冬空のような声が問う。ディランは強くうなずいた。

 そのやりとりを最後に、五人はディランとカロクの脇を抜けて走ってゆく。誰もがカロクを警戒したが、彼は興味深そうにするだけで、襲いかかることはしなかった。最後尾を走りだそうとしていたチトセが、カロクのすぐ横で足を止めて、振り返る。

「ディラン」

 刺々しい声で名を呼んだ少女は、いきなり手槍を彼に差し出してきた。ディランは目を丸くする。

「え?」

「使えるでしょ。……剣だけで、一対一で首領とやりあうのは、無謀だから」

「いや、でも、いいのか?」

 押しつけられるままに手槍を受け取ったディランが訊くと、チトセは悪戯っぽく笑った。

「貸しひとつ。全部片付いた後に、埋め合わせして」

 槍と彼を見比べながらの言葉に、ディランはチトセの言いたいことを察した。ああ、と肩をすくめたディランは、今度こそ槍をしっかりと握った。冷えきった金属の感触が、ゆるやかに動揺をしずめていく。

「……ありがとう」

 チトセは一瞬、ふっと破顔してからディランに背を向けて走り出した。

 初めて見た、彼女の無邪気な表情に驚いて、ディランは少しの間呆然としてしまう。小さく吹き出す音に、我に返って、カロクの方を振り返った。無愛想なはずの男が微笑していることに気づいて、またびっくりする。だが、すぐに気持ちを切り替えて、確かめるようにゆっくりと、槍を構えた。

 手槍は、昔ならった長槍よりも短くて、間合いも違う。実際に振りまわしてみないことにはわからないことだらけだし、慣れるには少しかかるだろう。――それでも確かに、すでにぼろぼろの剣一本で挑むよりは、ずっと心強かった。

 少年の――水竜の構えに、何を思ったのか。カロクはゆっくりと槍の穂先をディランへ向けた後、また口もとをほころばせた。

「面白い」

 わずかな間だけ、白が薄まり、穏やかな時が流れる。

 闇の中で光ったのは。かすかな金属音を響かせたのは。どちらの槍か、判然としない。

 ただそれは、過ぎゆく刹那の終わりを告げた。弱まっていた雪が強くなり、まわりの景色を覆い隠す。男の目には研ぎ澄まされた武人の威が宿り、少年の瞳には長きを渡った竜の静寂が湛えられる。

 びょう、と強く風が鳴り。二人の槍が、交差して、強くぶつかった。



     ※



 ディランたちの脇をすり抜け、小走りで山道を抜けてゆく。雪は少し強まって、黒かった山に薄い化粧をほどこした。

 寒さで手がかじかむ。けれどもチトセは気合で冷たさと痛みを振り切って、少し振り返った。まだ、むこうには薄く人の影が見える。戻ろうと思えば今からでも戻れるだろう。誰もそうしないとわかっていても、そんなことを考えてしまった。かぶりを振ったチトセは、冷えきった手を地面に伸ばす。一応、手袋はしているが、寒さをしのぐためのものではないから、心もとない。細い指が、手袋ごしに地面の小石に触れた。小石を拾ったチトセは、無造作に、脇に向かって投げる。大きく突き出た岩にぶつかった小石は、そのまま地面に落ちて跳ねた。

「どうかしたの?」

 そばにいたマリエットが、声をかけてくる。チトセは、うんともいやともつかぬ曖昧な返事をして、先頭を走るゼフィアーの背を追った。横目で青銀の女の顔を盗み見れば、彼女は厳しい目で道の先をにらんでいた。そこだけ道の幅が広がり、広間のようになっている。

 ――なんだ、気づいてるんじゃない。

 チトセは、酷薄な笑みを浮かべた。

 走り抜けたい気もしたが、足を止めざるを得なかった。さえぎるものがないせいで、強い風と雪が容赦なく吹きつけてきたからだ。全員、とっさに外套の被きで顔を覆う。

 吹雪のようになったのは、その一瞬だけだった。再び穏やかに舞いはじめる雪。そのただ中で、レビがため息をつく。彼もまた、ほっと胸をなでおろした後は、表情を引き締めた。

 チトセは地面を見つめた後、一歩を踏み出した。携えた刀が、カチャカチャと音を立てる。その柄に手をかけて、彼女は、顔を上げた。

「――本当は、ずっと首領の後ろにいたんでしょ。で、隙あらば、あたしらかあいつに奇襲をかけて手助けしよう……っていう寸法だった?」

 淡白な声が虚空を流れる。反応は、すぐにはなかった。けれど、チトセだけでなく誰もが辛抱強く待っていると、やがて、彼女の右側の岩陰から、身をひそめていた『彼女』が姿を現した。手槍の石突が、地面をカツンと打ち鳴らす。

「やっぱり、ばれてたよね。そのつもりでいたけど」

 屈託なく笑った少女は、顔にまとわりつこうとしていた赤毛を、悠然と手で払う。雪の中、防寒着を着て立つ彼女はけれど、頭には何もかぶっていなかった。そんなものは最初から邪魔になる、と思っていたのだろう。チトセも何も言わず、表情を変えないままに、頭の布を取り払った。少年のような短髪は、荒々しく舞いあがる。戦う気満々のチトセを前にして、彼女――イスズは目もとを緩めた。

「しかも、色々言い当てられちゃった。でもねチトセ、私、確かにそのつもりだったけど、もうやめたの。手助けなんて、きっと首領は望んでいないもの」

「……そうだろうね」

 鈴を振るような声で、いつも通りに話す少女に対し、チトセは苦々しく言葉を投げた。

「それで――それでも結局、あたしらの邪魔はするのかな」

「結果だけ見ればそうかもね。でも、どうだろう、邪魔をするというよりは……」

 槍頭が風を切る。穂先がチトセの方を見て、ぎらりと光った。

「少しだけ、戦いたいかな」

 告げた彼女の瞳は、泣いているようにも笑っているようにも見える。前に砂漠の町でぶつかったときのような激しさは、微塵も感じられない。きっとあたしも同じだろうな、と思いながら、チトセは黙って刀を抜いた。イスズが目を見開く。

「槍は?」

「貸し出し中」

 チトセはしれっと答えた。イスズは、そう、とだけ言う。髪に似た色の瞳は、すべてを見すかしているかのようだった。息を吸い込み、曲刀を構えたチトセは、控えている四人に背を向けたまま、ぽつりと言った。

「ごめん。ちょっとだけ、付き合って」

 少しの沈黙の後、「気にするな。存分にやるのだ」という、ゼフィアーのさっぱりした言葉が返る。そして、そのさらにかたわらで、何かを砕くような音がした。チトセが目をみはると、対面のイスズは目を細め、ため息をつく。

「もう。あれほど『横槍入れないでください』って言ったのに……」

 どうも、レッタのときと同じく、先輩がイスズにくっついてきたらしい。ほかの人たちが対処してくれるのなら、二人の打ちあいが邪魔されることはないだろうから、チトセにとってはどうでもよかった。

 再び深呼吸する。どちらかの靴が地面をこする。息が詰まるような、止まった時間のその後に、飛び出したのはチトセの方だった。懐に飛び込もうと、ひと息に駆ける。当然イスズは槍を突き出してきた。一撃をかがんで避けた彼女はなおも走り、刀を振る。刃は槍の柄に受けとめられた。

 雪は見る間に強くなる。近くにあるはずの相手の顔さえ、白く煙るときがあった。それでも彼女たちは惑わされない。刀と槍は、何度もぶつかり、響き、うなった。やがて、チトセが下から上に振り上げた刀が、繰り出された槍の、槍頭の根にぶつかって、止まった。相手の武器を刀に引っかけたような形になる。腕には力をこめつつも、その隙に呼吸を整えた。

「結局、そちらを選んだのね」

 イスズの悔しそうな声がする。チトセが黙ったままでいても、言葉はやまなかった。

「竜を恨んだり、憎んだりするのは、もうやめたの?」

「――わからない」

 じりじりと、鋼のこすれる音がする。チトセはわずかに目を伏せた。

「憎しみや、恨みは、まだあたしの中にあるよ。今でも、村がなくなったあの日のことを思うと、すごく腹が立つ。でもね」

 じりじり、が、ぎちぎちというに変わった。見間違いかもしれないが、刀身が震えている気がする。

「イスズも、真正面からあいつと話、してみなよ。なんかこう、ばかばかしくなってくるからさ」

 傲慢に力を振るった竜たちは、許せないと思う。けれど、傲慢さの欠片もない竜たちの姿もまた、知ってしまった。理性と感情、理想と現実、ふたつの間で苦しみながら生きる姿は――結局、人間と何も変わらない。その上、お人好しで馬鹿正直な水の竜は、人に希望を見いだして、裏切られてもなお慈しむ。チトセには、彼の感性が、今も理解できない。なのに、知りたいと思う。

 それは、とても心地よい感情だ。

 やかましい高音が耳を打った。槍が刀を振り切って、すぐそばに迫る。地面に身を投げだして突きをかわしたチトセは、刀を片手で持ち――刹那の間に考え抜いて、道の脇に積もる雪をわしづかみにした。イスズが槍を引いたところを狙い、短いかけ声とともに、泥の混ざった雪を投げつける。

「なっ!?」

 素っ頓狂な声が上がり、槍の構えが大きくぶれた。チトセは素早く起き上がると、がむしゃらに走った。走りながら刀をどうにか両手に持ち替える。そして、イスズが驚きから覚めて、槍を握り直そうとしたそのとき、チトセは彼女の喉もとに、刀を突きつけていた。

 少しして、背後で響いていた戦いの音もやむ。イスズはしばらく呆然としていたが、やがて、ふっきれたように笑いだした。

「何あれ。雪というか、もうほぼ砂と泥だし。ひどいよ」

「あれも戦法のうち」

 槍を地面に投げ、頬をぬぐうイスズに、チトセは意地悪に言葉を返す。するとイスズはまた吹き出した。彼女がひとしきり笑ったところで、チトセも刀を引っ込めて、収める。そのまま数歩後ろに下がると、イスズも槍を拾って、穂先に鞘をはめた。「あーあ、一本取られたー」と、なぜか満足そうに言った後、ふっと明るい表情を消す。

「ねえ。チトセは前、訊いてきたよね。私が竜をどう思っているのかって。首領のためっていう言葉じゃなくて、私の考えが知りたかったんだよね」

「……そう、そうだよ」

 突然向けられた問いに、チトセは戸惑いながら、うなずく。激しく衝突したあの夜が、もうずいぶん前のことのように思えた。イスズは、衣についた泥を払いながら、言葉を繋ぐ。

「私も、チトセと同じだな。正直、わからない。私自身がどうかなんて考えたこともなかったし。竜ってほら、昔見た怖い印象しかないからさ」

「そっか。なら、これから考えればいいんじゃない? やり直す機会は、あいつらが作ってくれるわ、多分」

「んー……考えとく。今さら彼らに頭下げるのも、しゃくだなって思っちゃうのよね」

 イスズは、衣を払っていた手を止める。彼女が遠くを見たので、チトセも視線を追ってみた。ほかの四人が、妨害しようとしてきた竜狩人たちを、ちょうど退けたようだった。

「あんたは、私がうらやましいって言ったけど」

「言った、かもね」

 チトセは曖昧に返した。――言葉の記憶はあやふやだが、友達に叩きつけた自分の怒声だけは、よく覚えている。イスズはそんなもの気にしていないかのように、朗らかな笑みを浮かべた。

「私は、チトセがうらやましいな。自分の気持ちに整理をつけて、彼らに協力しようって思えた、優しいチトセちゃんがさ」

 チトセははっとして、イスズを見た。その横顔に、なぜか、遠い昔に語らった人の顔が重なる。

 知らぬうちに、いつもはきつい色を宿した目に、懐かしむような色が浮かぶ。

 ふいに、木の鞘がついた槍が、持ち上がった。イスズの槍は、今まで彼女が通せんぼをしていた道を示している。

「行くんでしょ? 彼らと一緒に」

 イスズの表情は晴れやかで。チトセも釣られて笑みを浮かべた。こんなに穏やかな気持ちになるのは久しぶりだ。

「……うん」

 上に伸びてゆく山道の先から、かすかな白い光が見える。


 優しい人に、なれるかな。今からでも、なれるかな。……ねえ、ばあちゃん。


 光の中に、少女はそっと問いかけた。

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