不滅の神様
@koko929
神様になるちょっと前
-1
4月6日 (火)
今日で19歳。もう1年待てば成人かもしれないし、待たなくても成人年齢が18歳になればもう成人という微妙な立場。
でも彼には政治など関係ないのだ。
神路達也。彼は神様だから。
◆
「ばか…」
「ばっ…?」
小豆色の髪の毛をふわりと揺らして振り向く彼女の手には、魔法書のような重苦しい見た目の僕の日記。神日記と称されている。
今日は神日記活動初日だから、幼馴染みの杏に見てもらいたかったのだが__
「全否定っすか…」
少し位賛成してくれても…と項垂れるが、バッサリ切り捨てるstyleの杏は「うん」と悪気無く言った。
ゴス、と鈍い音を立てて僕は崩れ落ちる。
「なんかキモい」
「ひどぉ…」
澄まし顔でいう辺り、本人は傷つけている心当たりは無いんだろう。悪い意味で天然だ、くせぅ。
むくりと起きあがり、杏の手から神日記を取る。
「どこら辺が駄目か教えて、出来れば具体的に」
「全部は」
「駄目」
全部と言いたかったのか、杏はむぅ…と黙ってしまった。
冷静沈着…というか無口で根暗(そういうと怒る)の杏は、目に光が宿らない。神になれるというのに何故そんな協力的じゃないのか…と不思議になる。
と、杏がパッと顔を上げた。
「根本…神になりたいって考えが既に」
「帰っていいよ」
杏は「本当なのに…」と首を傾げてから、紺色のスカートに付いた埃を払ってから立ち上がった。
「じゃ」とも何とも言わず、いそいそとドアから出てく。
「お母さん…お邪魔しました…」
「えー、杏ちゃんもう行っちゃうの?!」
本当読めねぇ奴。
◆
まぁ取り合えず、俺は神になるのだ。
不滅の神様 @koko929
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