とめどなく、触れれば染み出す、湧清水
「ロボットの女の子が好きだ」
と、友人に言ったところ
「ぶっ挿すところ無いじゃん」
といわれた。
こいつは何を言っているのだろうか?
穴に挿入するタイプの行為でしか相手を愛することが出来ないという事を言っているのだろうか?
穴が無くとも、白磁のような滑らかで艶のある表面とそれを繋ぐ間接部のラバー皮膜の手で擦って貰う事は出来るし、ポールジョイントで繋がっている足と股関節の隙間に無理矢理捻じ込み、その広い稼動部を利用したフレキシブルな扱きを楽しむことも出来る。
女性の体の曲線を再現した臀部の割れ目や腰部のくびれに合わせて這わせながら押し付けるのも良い。
堅く冷たいはずの装甲が自分の一物の熱を吸収して生温かくなるのを想像すると、それだけで下腹部に熱が篭る。
自身に生殖器が無いから性的な事をされないだろうと考えているその身を、余すところ無く全て性をぶつける対象にすると宣言した時、彼女の感情プログラムは何を判断するのだろうか。
羞恥を覚えるのか、理解不能だと思考を停止するのか、それとも逆に奉仕のために答えるのか。これは最早プログラムを犯していると言えるのではないか。
このように、穴が無くとも愛でることは可能であり、更には相手が有機物である必要も無い。
性別を越えた愛情があるのならば、生命体を越えた愛情もあっても良いはずだ。
何故、棒を穴に挿入するだけが行為の全てだと思ってしまうのか、それが本当に不思議でならない。
しかし、穴の無い機械の相手にあえて穴を付けるのは面白いかもしれない。
機械ならばいくらでも改造が可能であり、穴の場所を固定する必要も無ければ、穴の数もボディも一つである必要も無い。
例えば掌。
掌に穴を開け、手首を通して肘まで繋げ、そこに刺激を与えたり挿入されると快楽を感じるように設定する。
すると、手で致して貰う最中にあわや挿入してしまうのではないかという背徳感を味わえる事が可能になり、致している側も徐々に徐々に強い快楽を得るために包み込む指を深くし、やがてニチニチと粘度のある水滴を突いたかのような音を発生させるようになる。
そのまま一息に掌を突き破れば、掌からはしたなく水滴が垂れ下がり、腕を歓喜に震わせるだろう。
さらに、そのまま挿入された腕を強く握る事で、中からの膨張と、外からの圧迫の二つの刺激を同時に与えることが出来、する側もされる側も通常では味わえない二重の快楽を得る事が出来る。
また、手袋を外すという何気ない行為が、掌に付けられた秘所を外に晒すための行為となり、途轍もなく淫靡な行為に思えてくる。肘まで隠すロングタイプの手袋だと尚更だ。淑女が手袋を脱ぐだけで娼婦に変わる。
掌に秘所を付けられたままの状態のでこちらの全身をマッサージして貰うのも良い。『揉む』という行為で掌を刺激され、マササージをする度に快楽が訪れるようになるのだ。
その状態で腰や肩などの硬い骨の上を揉むと一体どのような反応をするのか。考えるだけで口角がじわりと吊り上がる。
例えば踵。
踵の裏から足首を通し、脹脛まで通る穴を作る。
このまま足で踏んで致して貰えば、つるりと滑って誤って挿入してしまうのではないかというスリルを楽しむ事が出来る。
入れてしまうのならば、土踏まず付近で踏んでもらっている最中に少し足を浮かた瞬間を見計らい、 グイッ と寝ている状態から持ち上げ、するり入れてしまうのが良いだろう。
意図していない状態での挿入に彼女は何を思うだろうか。驚くのか。嫌がるのか。それとも本当は入れて欲しかったのだと喜ぶのか。下卑た想像が止められない。
また、踵に穴を作る最大の目的は普段の生活時にヒールの靴を履かせる事にある。勿論、ヒールはピンヒールだ。
歩くたびに穴の入口が刺激され、立っているだけで自身の体重の圧迫で快楽が襲う。快楽に負けじと爪先に体重をかけて歩こうとするのだろうが、そこで後ろから肩を叩いて声をかけてやる。
急に声をかけられて驚いた者は体が硬直し、背筋が伸びて体重が後ろにかけられる。つまり、急に踵に全体重がかかる。
油断して居る所に急に踵に全体重がかかってしまったら、彼女はまともに断つことが出来るのだろうか。そのままはしたなく倒れてしまうのだろうか。想像すると心の奥底が震えて痺れる。
例えば胸。
胸の真ん中ではない。胸の先端に穴を空ける。勿論両方に。
後ろから抱きしめ、両脇に腕を通し、胸に手を当て、中指と人差し指で穴の入口を撫でる。
少し湿り気を帯びてきたら中指の腹を穴に当て、そのまま親指と小指で硬くもなだらかな曲面の丘を包み、少しずつゆっくりと力を入れて握る。
胸を撫でられる事には慣れていても、そこに指を淹れられるという事は慣れていないだろう。
胸部は人間でなくとも重要な機関の詰まっている場所であり、物によっては頭部ではなく胸部にコアを設置している場合もある。
そんな場所にゆっくりと、じらしながら、数ミリずつ中指を穴に挿入していく。
自身の重要な物が詰まっている場所へと指を挿入され、快楽を得てしまう事に。一体何を感じるのか。
そのまま突き破って強く押し込めば、コアになんらかの異変が起きるかもしれない。コアが衝撃で損傷すれば体が動かなくなるかもしれない。メモリーが消えてしまうかもしれない。自己が消えてしまうかもしれない。しかし、それでも胸から与えられる快楽には抗うことが出来ない。
片方ずつ抜き差しするのも良い。両方同時に深く差し込むのも良い。奥底を指でつつき、指の関節を曲げてまさぐり、嫌がろうとも無理矢理に胸の中を掻き混ぜる。
後ろから抱きかかえられ、逃げる事は出来ない状況で、致死へと至る喜びを電脳はどう表現し、受け止めるのか。思うだけで股間がいきり勃つ。
他にも、耳、後頭部、脇、臍、太股と、様々な場所に穴を開けた場合の反応を想像してみたが、どれも非常に愉しめる事になるだろう。
なるほど。人間側の快楽のためだけでなく、ロボット側の快楽の為に穴を開けるというのは良い事なのかもしれない。
穴が無ければ楽しめない奴は論外だが、穴がある事も楽しめるようになるのは悪い事では無い。
早速、帰ってから試してみよう。
まずは何処にするか。
掌か?
足か?
胸は面倒なので次回以降だな。
いっその事、体中に穴を開けてもいいのかもしれない。
愉しみだな。とても愉しみだ。
穴も良い物なのかもしれないな。
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