廃棄物の王~mechagalmatphillia~

@dekai3

短編集

欲望の結露を集めた不可変の愛情の結晶

ロボットの女の子がヒロインの話を書きたい。

ロボットの女の子がヒロインの話を書きたい。

ロボットの女の子がヒロインの話を書きたいんだよ。


自分の感情がプログラムされた物だからマスターを好きという感情もプログラムによって作られた感情ではないのか?しかしそれならばマスターに好意を持つのは自分が制作された目的に沿っているので問題無いのではないのか?でも私のこの感情は蓄積によって得られた物で決して定められた結果なんかじゃないとか悩んでいるロボットの女の子を優しく抱きしめて君の思うようにしたらいいんだよって言いながらその硬いけど女性らしさを表した美しい曲線のボディをまさぐってそのままベッドインして私には生殖器が無いのですよマスター?とか若干困った風に言い出すその様をとてつもなく愛したい。愛したい。好きなんだよ。ロボットの女の子の葛藤が。


でも違うんだ。

お話にしてしまうと違うんだ。

それは主人公とロボットの女の子のヒロインの話であって、僕じゃないんだ。

僕は作者でしかないんだ。登場人物にはなれないんだ。小説の中に入り込める装置が欲しいんだ。


可愛いんだよ。

めっちゃくちゃ可愛いんだよ。

一から感情を築きあげて絆を育んだ人間相手じゃなくて、最初から人に好意を持つようにプログラムされた……あ、最初は人に敵対感情でもいいや。そういう敵だとプログラムされた相手の事がどうしても気になって仕方なくって殺す事が出来なくなってエラー吐きまくって悩んじゃうロボットの女の子いいよね。それが元で同型のロボットの女の子に異物と判断されちゃう所もいい。そして処分されそうな所を命を助けてくれたからって助けに行って、そのロボットの女の子は助かるけど僕は死んでしまって、そのロボットの女の子が『悲しい』という感情を知って、涙を流す機能が無いから泣けないのに汚染地域で降る酸性雨が顔のパーツの起伏のせいでまるで泣いてるように見えるのがとてもいいんだけど俺死んでるじゃん!!!??

死んでるじゃん!!!駄目じゃん!!!!これじゃ愛せないじゃん!!!!???


あっぶねマジあっぶね。これだからお話にするのは駄目だ。

死んだらロボットの女の子を愛せない。これ重要。はい、これめっちゃ重要。


あーマジでロボットの女の子を愛したい。どっかにロボットの女の子と恋愛するだけの小説をまとめた図書館とか無いの?あったら世界を敵にしてでもその図書館を守るよ?愛の力舐めんなよマジで。愛があれば感情の無いロボットに笑顔を教えることが出来るんだよ。世の中は合理的に生きているだけじゃ詰まらないんだよ、顔の人工皮膚や内部のモーターが傷んでもいいから笑顔という表情パターンとプログラムは大事なんだよ。ね?分かる?普段は本当に人形みたいに無表情でしかないロボットの女の子が笑ってくれた時の嬉しさ。もうノーベル平和賞物だよね。そうやってロボットの女の子に徐々に表情と感情を教えていって、普段はやっぱり無表情でツーンとしてるんだけどふとした時に安らかな笑顔をしてくれてたりして、冗談でお尻を触ると昔はノーリアクションだったのがこっちの手を叩くようになって話しかけてもガン無視するようになって夕ご飯がゲテモノ料理(でも栄養は満点)になってたりとかして、そうやって幸せな日々を過ごしながら歳を取っていって、最後にこれ以上延命が出来ない事を知ったロボットの女の子がめっちゃ泣いてるのを見ながら「目から冷却水を流すのは無駄じゃなかったのかい?」とかちょっとふざけてみたり、死ぬ間際には「君には笑っていて欲しいんだ」って言って涙は止まらないけどとびっきりの笑顔を見ながら死にたいじゃん?




死んでるじゃねえか!!!死にたいんじゃねえよ!!!ロボットの女の子を愛したいだけなんだよ!!!!

死ななきゃお前はロボットの女の子に感情を教えられないのか!!!?バッドエンドじゃねえかよ!!!!感情を手に入れても悲しいだけでロボットの女の子が悲惨じゃねえかよ!!!!!!


やっぱ駄目だわ。自分でお話にするのは駄目だわ。死ぬもん。自分死んじゃうもん。

死んだら愛せないの?分かる?命は一個しかないの。

お話の中なら主人公を不老不死にしたり同じロボットやサイボーグに出来るけど、お前に俺のヒロインと恋愛させてたまるか!!!!俺が!!!!ロボットの!!!!!女の子と!!!!!!恋愛したいの!!!!!!クソ主人公が!!!!!!!!!!お前に俺の娘は渡さねえ!!!!!!!!かかってこいよ!!!!!!!!!


あああああああああぁぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁ!!!!!!!』











「というログをサーバーで見つけたのですが、博士が小説家を辞めて私を作ることを決めた理由はこれなのでしょうか?」

「うん!!!お尻触っていい!!!?」

「控えめに言って、死んでください」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る