第13回 授業中の水(飲み物)
ユズ(以下、ユ):みなさん、授業中に水を飲むことは認められていましたか。
ミカン(以下、ミ):ダメだったよ。休み時間に飲みなさいって。
レモン(以下、レ):私は水筒も持っていけなかった。休み時間に冷水器か蛇口の水を飲んでたな。
ユ:今や、さすがに体育の時に水飲んではいけないということはほとんどなくなりました。
ミ:脱水は危険だからね。
ユ:しかし、授業中に水を飲んではいけない学校は、まだまだ多いようですね。
レ:室内でも脱水はあるんだが。水飲んでいけない理由も大して言われることなく、あたりまえとして扱われている気がする。
ミ:疑問を持っている子は多いと思うけどね。
ユ:考えていきましょう。
1.水を飲みたい理由
ユ:まず、なぜ水を飲みたいか、考えてみましょう。
ミ:喉が乾いたら、体が水分を要求しているってことでしょ。
ユ:そうですね。場合によっては、室内でも熱中症になることはありますし。
レ:何かのどがイガイガしている時とかあるから、そういう時は軽く水飲んでスッキリさせたい。
ユ:不快なまま無理していても、全然集中できませんからね。
レ:病気ってほどでなくても、体質でのど弱かったりするしな。
ミ:45分や50分でも1日6回あるわけだし、ずっと集中することはできないよね。授業中でも軽く一息つきたい場面もあると思うな。
レ:眠気覚まししたい時もあるからな。
ユ:もちろん必要のない人もいると思いますが、場面により水を飲むことで、授業に挑む自分のコンディションを高めることができる人もいるわけですよね。
2.妥当か?水のみ禁止の理由あれこれ
ミ:飲む理由を考えてもらえば、飲んでいいじゃんと思うけど。
レ:禁止するには禁止するだけの理由があるのか?
ユ:理由として挙げられるものを下に並べてみました。(考えられる理由は大体挙げたつもりです)
・ガマンの練習/ルールを守る訓練/自制する力
・先生に失礼/先生もガマンしている
・45~50分程度の授業中で、熱中症などのリスクは低く、必要ない
・集中がとぎれる
・休憩時間をうまく使え/準備をする訓練
・水を許可すると、お茶/スポーツドリンク/コーヒー/炭酸という風になし崩し的に色々なものを飲みだしてしまう
・みんなが水飲むのは目障り/音が不快で授業の妨げになる
・子どもが水をこぼして授業どころではなくなる恐れがある
ユ:ひとつひとつ検討していきましょう。
ミ:まず、ガマンの練習だけど、ガマンしなくてもいいものはむしろしたらダメだよね。
レ:それこそ、体育で水を飲んでもいけないでも「ガマンの練習」って言ってた人はいるだろうからな。
ユ:ルールが間違っていたら、ルールは変えていかなければいけません。極端な話、お前は生まれつき「どれい身分」だからお前が働いた分の給料は全てもらうルールだ、というのもルールです。
ミ:先生もガマンしているって、先生もガマンしなくていいじゃん。
ユ:はい。のどが渇くことで授業の質が落ちるなら、水を飲んでもらって授業の質をあげてください。
レ:先生はしゃべること多くて大変だろうからな。
ユ:45分程度で水は必要ない、集中がとぎれる、これは先ほどの「水を飲みたい理由」の通り誤解ですね。実際、教室で脱水で倒れる例もあります。
レ:水が飲めないことで、しっかり勉強できる体調を維持できないこともある。
ミ:休憩時間をうまく使え、準備をする訓練というのはわからないこともないけど、体調の変化は急にあるから、それに対応することを禁止したらいけないと思う。
レ:授業中トイレに行くも同じだな。あれ、休み時間に言っておけというのはもっともなんだが、行く側もそんなことはわかっていて、「どうしてこんな時に」とか動揺してたり、「言っておけばよかった」って後悔してたりするものだ。行きたくて行ってるんじゃないし、反省を生かそうとする。
ミ:教室移動で水飲む暇なかったとか、それぞれ事情はあるからね。
レ:水を許可すると他も飲みだすのはというのはわからんでもないが…。
ミ:他は他、水は水って管理すればいいけど、水筒の見た目じゃわからないからね。
レ:…炭酸飲むことはダメなことなのか?
ミ:ダメじゃないかもだけど、健康上は良くないんじゃないかな。
ユ:このあたりの基準は様々でしょうね。実際、今も水筒持ち込み可の学校は多いですが、水とお茶までのところと、スポーツドリンクはOKなところとあります。
レ:お茶も嗜好品だろうし、何でジュースはダメでお茶はOKなところ多いんだろうか。
ミ:糖分の問題じゃないかな。生活習慣病になったらいけない。
ユ:そのあたりしっかり説明して、水はOKジュースはNGというルールを作ればよさそうですね。
レ:理由のないルールじゃなくて、本当に妥当なルールできまりを守る練習をすべきだな。
ミ:水飲むのは目障り/音が不快…、かな。私は気にならないけど。
レ:あんまり音たててすすったり、飲むたびに「ぷはー」って言ったり、水筒があまりにカチャポンってうるさかったりするのはよくないかもな。神経質すぎるのも問題だろうが。
ミ:そのあたりはエチケットの問題なのかな。
ユ:それはそれで実生活でも出てしまう「くせ」でしょうから、指摘してあげるといいでしょうね。
ミ:「子どもが水をこぼして授業どころではなくなる恐れがある」っていうのは、中学生にもなればないだろうけど、小学校低学年ならあるかもね。
レ:どうなんだろうな。飲む水くらいなら案外そんなこともないのかもしれない。バケツの水ひっくり返すのに比べれば大したことないし、授業どころじゃなくなるって程のことはないんじゃないか。
3.水のみ禁止の弊害は、水が飲めない事だけじゃない
ユ:さて、ここまで「水を飲む理由がある」ことと「水飲みを禁止する理由が不適当」であることを述べてきましたが、次は「水飲みを禁止することで生まれる悪影響」を考えていきます。
レ:そうきたか。
ユ:先にその弊害をまとめると「不寛容な思考と、非合理的なガマンがあたりまえに」なることだと思います。
ミ:というと?
ユ:具体的には「仕事中は飲み物など飲むべきではない。飲み物が置いてあることなど許されない。」と考えることです。
レ:体調を維持して仕事の効率を上げることにつながる、ことは考えないんだろうな。
ユ:はい。ツイッター上で典型的な例があったので紹介します。
小学生が職場見学に来たのですが、感想に「机の上にマグカップが置きっぱなしになっていました」「お茶を飲みながら仕事をしていました」「なぜ飲みながら仕事をしているのですか」とお茶関係がいっぱい…… 工夫して仕事内容を説明したのになって、切なかった。
ミ:あらら…。この子たちは、授業中お茶飲めないのが当たり前だから、疑問に思ったんだろうね。
ユ:「許せなかった」とまでいえるかもしれませんね。
レ:非合理的なガマンがあたりまえになり、それをしない人を否定する「不寛容」な態度になる。なるほど。
ユ:消防隊員の方がうどん屋に行ったらクレームが来た、という件が話題になりました。一部消防局のHPには「救急隊は連続する出動などのため、食事が摂れない場合があります」「ご理解をいただいた病院の売店等で飲食物を購入し、飲食を摂ることにしました」など掲示しています。
これに対しては「許可を取る必要など全くない」「救急隊に食事を取ってもらうべきだ」「クレーマーなど気にすることはない」などの声が上がりました。
ミ:「お前は仕事中だろ、飯なんか食ってんじゃねえ」って人が少なからずいるってことだよね。
レ:それが現実だが、こういう理不尽な考えを減らしていかなきゃいけないこともまた事実だろう。さっきの「なぜ飲みながら仕事をしているのですか」はこのクレームにつながっていくのかもな。
4.おわりに
ユ:ぜひ、授業中の水飲み禁止の学校が減ってほしいと思います。
レ:学校にとっては許可される「物」が1つ増えれば、それだけ面倒ごとは増えるんだろうが、水を飲むのにはそれなりの理由があるんだから、許可されるべきだな。
ミ:ガマンすることが全てじゃない、むしろガマンしてはいけないことだってある。体調はその最たるものかもね。
ユ:それでは、ここまでお付き合いありがとうございました。
レ:次回もぜひご覧ください。
ミ:またね!
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