第9回 卒業式の練習
ユズ(以下、ユ):今回のテーマは卒業式、というか「卒業式の練習」です。
ミカン(以下、ミ):式自体じゃなくて、練習の方なの?
ユ:式本体以上に時間をかけることがあるのが練習に注目します。まあ、練習を考えるには、式本体のことも考えることになります。
レモン(以下、レ):座ったり立ったりを何日も大変だった覚えがあるな。
ミ:そもそも式の練習って何だろうね。必要なのかな。
1.卒業式いろいろ
ユ:さて、「卒業式」ですがこれには明確な決まりはありません。(国家・国旗について学習指導要領に文言がありますが、卒業式自体の形式は決まっていません。)
ミ:学校によって違うってこと?
ユ:はい。小学校でも1年生から全て参加する学校もあれば、高学年しか参加しない学校もあります。
レ:うちは5年と6年だけだったな。児童の人数も多かったし、全校だと体育館に入らない。
ミ:卒業式と別に「6年生を送る会」みたいなのがあるのは、式に出られない児童のための代わりかな。
ユ:そういう意味もありますね。まあ、卒業式も全校参加で「6年生を送る会」もやるところもあるでしょうけど…。
レ:小学校、中学校、高校では随分違うよな。
ユ:大体、年齢が進むほどあっさりしますね。練習も、小学校はみっちり1ヶ月、高校では手順を確認する1回だけというところも多いでしょう。
ミ:大学では「これたら来てね」みたいだよ。
ユ:そもそも式と「卒業証書」は別物ですからね。小学校では、式の中でもらう場合が多いですが、他では代表だけがもらって後は教室でという場合が多いでしょう。
ミ:あいさつにいろんな人が来たりもするよね。
レ:校長とPTAの人は鉄板かな。他にも、正直卒業する側はよく知らない人があいさつしたような気がする。
ユ:話す時間も人によって違いますし、立って聞くか座って聞くかも学校によるでしょうね。
ミ:立ちっぱなしはきついよね。
ユ:いずれにしても、学校ごとにパターンは大きく違うということですね。
レ:でも、その学校ごとの形式を固く守らせるよな。
ユ:子ども側に変更する余地があることは、ほとんどないでしょうね。
2.起立・礼・着席
レ:練習で徹底的にやることと言ったら、起立・礼・着席だな。
ミ:「一同起立」はいいけど、「卒業生起立」と「在校生起立」と「卒業生、在校生起立」、ごっちゃになってたまに間違えてた。
レ:それ間違えたくらいで叱られるのもどうかと思うけどな。
ユ:間違えたこと気にして、卒業式の気分も台無しというのはつらいですし、本末転倒ですからね。
ミ:まあ、実際練習で注意されても、本番で間違えたことをわざわざ後で言ってはこないと思うけど。
レ:卒業の日はさすがにな。
ミ:練習で一番やったのが、起立がビシッとそろうように何度も立ったことかな。
レ:全体で何度もやり直しになると、今度はクラスごとに起立練習したりしたな。
ユ:これも学校によって違いますが、厳しいところが多かったのではないでしょうか。
レ:出来が悪いと帰りが遅くなったりした。なんか1人がダメだったら連帯責任っていうギスギスしたのが嫌だった。
ミ:変なプレッシャーかかるよね。
ミ:素朴に、そろうと何がいいのかな?
レ:まあ…見栄えがいいんじゃないっすか。
ミ:卒業する当人たちはよくわからないけどね。
ユ:では、誰にとっての見栄えのよさでしょう。
レ:…教員、あとは保護者とか、見に来る人たち。
ミ:そういえば、卒業式は、親や地域の人にここまで育ててもらった感謝を示す時、そして立派になった姿を見せる時と先生にいわれた気がするよ。
レ:まあわかるが…。でも、その姿は本当に、小学校なら「6年間の集大成」か?1か月そこらで付け焼刃にトレーニングした成果ではあるけど、それ以上ではない気がするが。
ユ:そうですね。その姿をもって立派になったと満足するのは、外の人の自己満足かもしれません。
ミ:勉強したり人間関係を育んだり、そっちの成長の方が大事だもんね。ぱっと目に見えるものじゃないけど。
レ:その成長は1つの式では表現できないっす。
3.別れの言葉と歌
ミ:小学校では1人1セリフ「別れの言葉」みたいなの言ったりするよね。
レ:あれ、自分のセリフは反復するから印象強いんだけど、全体の文章ほとんど覚えていないんだが。
ミ:セリフ細切れだからね。私は最初の方で「卒業証書を手に」だったよ。レモンさんは?
レ:真ん中くらいで「ありがとうございました」。確か、給食の調理員や栄養士への感謝だった気がする。
ユ:卒業式の練習といえば、歌を思い浮かべる人もいるでしょう。これは特に、学校や先生によって力の入れ方が全く違いますから、厳しかった人とそうでない人わかれると思います。
ミ:たくさん歌ったよ。声が出てないって何回もやり直した。
レ:私は1年間音楽の授業とかでやってきた曲だったから、あんまり練習はなかったな。
ユ:大体、国歌と校歌と卒業ソング1曲という感じですかね。もっとたくさん歌うところもあるかもしれません。
レ:よく声量が指摘されるが、声が大きければいいという問題ではないと思うんだが。
ミ:中学校の時は、4部合唱で結構大変だったよ。
レ:卒業式くらい難しいこと考えずにユニゾンで歌った方がいいんじゃ…。
ユ:そうさせた人も、何か理想の卒業式像があるんでしょうね。
4.「きちんとした」卒業式は誰のため?
ユ:立派な卒業式、きちんとした卒業式、言い方はいろいろですが長い期間練習してそういう卒業式を目指すわけですね。
でも、それは誰から見た「きちんとした」で、誰のために「きちんとする」のでしょう。
ミ:在校生はよく「卒業生のために」って言われるよね。でも、卒業生はそれを望んでいる人がどれだけいて、「私たちを送ってくれた」って感動する人がどれだけいるんだろう。
レ:感動するなら大抵自分たちのこれまでことを想って感動するわけで、正直在校生とはあまり接点ないし。
ミ:部活の後輩とかならつながりあるけど、下の学年全体ってなるとピンとこないよね。
レ:まあ確かに卒業式の邪魔をしないことは「卒業生のため」かもしれないが、それならはじめからでなければいい話だしな。
ユ:それでは、卒業生はどうでしょう?
ミ:さっき出たのは、教員・保護者・見に来る人たちへの「見栄え」だよね。
レ:あとは…そうだ、「在校生のお手本」って言われるな。
ミ:うん。でも正直、在校生は自分たちのことで手一杯で卒業生の姿は意識できないと思う。
レ:まあ、大体は卒業生の姿は覚えてなくて、結局1年後は自分たちも猛練習だからな。
ユ:仮に意識して見たとして、憧れや尊敬を抱くかは疑問符がつきますね。
レ:やはり外への「見栄え」が大きいのかな。
ユ:まあ見た目がきれいなことは悪いことではありません。ですが、それよりも大事なことが忘れられてないかということですね。
ミ:式にうんざりして、卒業にあたっての気持ちが冷めたら本末転倒だからね。
ユ:厳しくする人には「理想の卒業式像」があって、その価値観を子どもにも持つように促しているんですね。ですが、それが正しいとは限りません。
5.おわりに
ミ:卒業式の練習があることで、卒業までの気持ちを高めていくって意味もあるのかな?
レ:でも、それは別に卒業式の練習じゃなくてもいいだろ。
ユ:そうですね。本当に自分の成長を示すには、自分で考えて作っていくもの方が有効かもしれません。
ミ:卒業文集はそういう意味なのかな。
ユ:かもしれませんね。式の練習よりは、勉強面やその他でも総括的なことをして、1人1人卒業にあたっての成果物を作る方が成長を示せそうですね。
レ:まあ式は式としてそれなりの態度で臨んだ方がいいというのはわかるけどな。
ミ:でも卒業式ために延々と練習することは、本当に1人1人にとって意味があるのかなってことだね。
ユ:それでは、ここまでお付き合いありがとうございました。
レ:次回もぜひご覧ください。
ミ:またね!
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