第3話お仕事開始
次の日
僕らは、七織さんが事故に遭った場所にきていた
住宅街の裏手とでも言うのだろうか
商店や公園は無く、切り立った斜面に上に行き止まりのガードレールが住宅地の外周を、囲むように続いている
その道のカーブ沿いに下に降りる階段がある
まっすぐに下に向かって続く階段は、規則的に踊り場が階段の丁度真ん中に手すりがある
この階段の一番上から最初の踊り場まで
七織さんは、転落し頭を強く打って
亡くなられたのだと、七海ちゃんが話してくれた
夜遅い時間だったので。誰にも気付かれず
次の日の朝になって通勤途中の会社員さんが発見して救急車を呼んだ時には、行きを引き取って数時間が経過していたようだ
一人寂し亡くなられた七織さんを思うと
胸がいたくなった
「そろそろ始めようか」辛そうに地面を見つめる紅に母が促すと
「分かった」そう言って紅か地面に両手を翳す
紅が集中するにつれ、紅の髪色が明るく変わって行く
「うぐっ」うめき声を聞いた途端、紅がまるで地面に拒まれるように弾かれ、てを翳した姿勢のまま少し後ろに下がった
「大丈夫か」慌てて駆け寄り翳していた紅の両手を僕は自分の手で握りしめた
紅の強張った顔と身体が弛んて行く
「大丈夫か?」紅の顔を覗き込んで僕は尋ねた
「もどった。大丈夫」その答えに安心して
僕は手を離した
紅が言った「戻った」
紅が思念をたどろうとする時
彼女は、その思念と一体化する
深く辿れば辿るほど一体化は進み
そして、そのままとれ込まれてしまうことがある
取り込まれてしまうと意識は、深層下に沈み
そのまま戻ってこれなくなる
今まで、戻ってこれなかったことは無い
まあ、戻ってこれなかったら
こうして元気に僕の横で仕事してないから当たり前なのだが
…えっ!何でかって?
それは、戻ってこれないと、生きているけど意識がない、目は開いていても反応がない
心は、深い闇に沈み
身体は、入れ物だけに成ってしまうから
こうして、ここに紅の心があると言うことは
ちゃんと戻ってきた言うことなのだ
戻ってこれず
俳人のようになった魔女に
僕は、出会ったことがある
まるで息をしている蝋人形のようだと
その時思った事を覚えている
そう成らないように、ぼくらは
紅の手をカラダの一部に触れ現在との繋がりを作り、いざというときは引き戻す
さっき、僕が紅の手を握りしめたのは
そのためだ
母が「お疲れ様、あんまり無理しなくていいからね」と言いながら紅の背中を撫でた
「七織さん、ここに落ちたときには、まだ意識があった」
「一生懸命、生きようとしてた」絞り出した様な声で、そう話し出す紅の目から涙が溢れだした
「七海を守らないと」って七織さんの心が言ったのは分かったが
急に黒く細かい粒子みたいなものが、辺りを覆い、それに弾き飛ばされて、暗い闇の底に落ちて行く途中で、僕のの手が見えてそれを握って戻ったと詳細を話した
「これは厄介だわねえ」
「やっぱり、ただの事故じゃ無いわねえ」母とばーばが厳しい顔で、僕らに話す
「今回は、かなり厳しいことに成ると思う」こう言う母
「探すのも、相手も、かなり難しいわね」と言うばーばに
「相手も…て、紅が見た黒い粒子の事」碧がばーばに聞き返すと、七織さんが倒れていた所を見ながら「粒子と言うか、それで覆い隠している何かって、とこかしら」ばーばが今度は険しい表情で答えた
「何かって何?」不安げな表情で僕は聞き返す
「そこは、まだハッキリとはしないわねえ」と
ばーばー
「でも、かなり厄介な何かなのは感じるわ」母が付けたす
二人の険しい表情に僕ら兄妹は、不安を感じ
少しこわくなった
「とりあえず、この辺りに何か落ちてないか探しましょ」
そう母に言われて紅はてを翳し、碧が右目を凝らすと
「力は使わないで普通に探して」ばーばーが二人を制止すると
「えっ」不思議顔で二人は動きを止めた
「また、さっきのように、闇に引きずり込まれても困るから、もう少し相手が何なのか分かるまで、力を、使うのは控えた方がいいわ」二人に説明した
「得に、ここではやめた方がよさそうね」母も同意する
そして、みんなで辺りの草をかき分け目をこらし、僕らがいつも落とし物を探すのと同じ方法で捜索した
「この場所が何か善くないことを起こすような物は無いと思う」彼女たちがと言うので、階段やその脇に落ちていた物、石なのどを幾つか持ち帰えり、家でそれらのものについて、各自がそれぞれ調べて行くことにして
僕らは、急いで車に戻り、待っていてくれた
やっさんの運転で帰る
この中には他に、じーちゃんや、猫たち四匹も一緒に待っている
つまり、我が家全員でここに来たことになる
こう言うことは、けっこう良くある事で
捜査や買い物する時などは、八人乗りのワンボックスカーに乗り、家族全員で行く
捜査は、たまに猫たちも一緒に出るのだが
大概は、じーちゃんや、やっさんは車で待っている
買い物の時はじーちゃんと猫たちは車でお留守番
猫たちは、魔女たちの使い魔だから居ても当たり前なのだが
運転手にわざわざ、やっさんを連れてこなくて
僕ら兄妹も母も運転できるし
ましてや
何処に言っても車からほとんど出ないじーちゃんを連れていく必要があるのか?と
ばーばに、聞いたことがあった
「危ないから」「みんなで居ると、なんとかなることもあるかもでしょ…」と良く分からない事を言った
母にも同じ事を聞くと
「家族の数は、パワーよ、パワー」と微笑みながら答えただけだった
だから、僕ら一家が総出でお出掛けする意味は
よくわからない
今日も今日とて、力を使い疲れた女たちは、車に乗ると、すぐに眠りにつく
まるでそれを癒すように、彼女たち上に各自一匹づつ猫たちも乗って眠っている
僕ら男たちは、と言うと
お昼ご飯のメニューや買い物して帰ろうかとか
洗濯物誰が取り込むとかなど
主婦満開の会話をしている
じーちゃん、やっさん、そして僕
僕らはら全く血の繋がりの無い他人家族だ
それでも、他の家と変わらく普通に家族をしている
お父さんじゃ無くてやっさんと呼んでは、居るが兄妹みんな
父親だと思っているし
じーちゃんは生まれたときからじーちゃんなんで
じーちゃんしか、祖母と認められない
じーちゃんは我が家の長老とし家族をまとめ、場を和まし、血の繋がらない僕たちを和にする
やっさんは、家族の健康面を管理し家族一人一人に目を配らせて、家計を管理し、家族の健康と幸せを守っている
僕は…僕は…この家の事務員…雑用係…なんの役割もしていないかもしれないかも…
家が魔女の家計だと気がついた時に、ばーちゃんと母に「僕は何をするの?」と、尋ねたことがった
「生きててくれるだけで、十分役にたってる」と母が言ったが、それでは、納得しない僕に
「紫の言った意味が分かるときが、そのうち来る」
「その時は、蒼生にとって一番辛い時に、なるかもしれない」
「だから、今はなにも気にせず、「僕は立派に役にたってるこの家の長男」だと、胸を張っていなさい」そう言われた
今もまだ、その意味が分かるときは来ていない
だから、僕は、僕の持てる力を、すべて使って
皆をバックアップする事にしている
僕と魔女と猫 @hiroyan50
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。僕と魔女と猫の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます