好きだから~綴る思い~

司剣

一話

高校三年の始業式講堂で校長の長く回りくどい話が続いている時、隣に座りあくびをし退屈にしてる男が耳元で

『なあ悠人知ってるか?新しく赴任してくる先生の中に若くて美人がいるんだってよ』

と囁き悠人の反応を伺っていたが、悠人は男の方を見ずに校長の話を聞く振りをしながら

『どこから聞いてきたんだよ信彦 』小声で返し信彦は『それは教える訳にはいかない』小声ながらも強く言葉を発し前を向いていた。

始業式も終わり教室に戻り席に着き外を眺めていると後ろの席の信彦が『今年も同じクラスだな悠人宜しく』声を掛けるが『この学校三年間同じクラスだから今年も何もないだろ!去年も同じ事言ってたぞノブ』ため息混じりに言う悠人に信彦は『気持ちだよ気持ちこういうのは』

屈託の無い笑顔で応えた、

『そうそう』

と二人の男が信彦の言葉に同調し、二人は、悠人と信彦の机の上に座り、悠人の両肩をそれぞれ軽く叩いた,その行為は、二人にとって無意識なのか、信彦の気持ちを汲んでやれよという意味なのかは解らないが悠人はなんとなく納得した。

『そういえば、新しく赴任してきた先生すごい美人だったな歳も俺らに近そうだし』

悠人の机の上に座っている男が三人にそう言うと、信彦の机の上に座っている男が、

『俊樹、お前年上に恋するのはいいけど、さすがにあの人は年上過ぎるだろ!?あれはどう見ても50㈹だぞ、まあ応援はするけど、俊樹彼女いるのに大丈夫か?』

俊樹をからかうように言うと案の定

『馬鹿!充、何で俺があんなババアに恋しなきゃいけないんだよ!』

強く否定した。

『俊樹今の発言女性蔑視に当たる可能性があるからその先生に会ったら謝っておいた方がいいぞ』

悠人の一言に4人の話を聴いていた回りの女子からも非難され頭を下げ謝罪してる俊樹の姿が妙に可笑しく皆が笑ってる中、悠人が誰ともなく聞いた

『なあ新しく赴任してきた先生ってそもそも何人いるんだ?美人の先生ってそんなに美人なのか?校長の話の途中から寝てたから見てないんだよな』

すると信彦が悠人に教えた

『3人だよ、年齢的には中年のおじさんとおばさんと若いお姉さん。お姉さんは、すごい美人た!美人の先生が来るとは、聞いていたけど、あそこまでとは思わなかった。あれは可愛いじゃなく美人という言葉がぴったりだ。ちなみに髪はセミロングで身長は由梨ちゃんぐらいだけどスタイルが凄くいい』

皆がビックリした顔で悠人と信彦の方を見ていた

『今日か明日天変地異が起きるわね悠人は式とか会が嫌いだからよく寝てるから寝てて見てないというのは解るけど、ノブが起きてるのはあり得ないでしょ!普段の授業中も寝てるし、一昨年と去年の卒業式も寝てたのにまあ悠人はさすがに卒業式だから起きてだけどさ。そんなノブが起きてるなんて不吉な事が起こる前兆ね』

信彦の隣の席の星宮楓がそう言うと回りはうんうんと首を縦に振り、楓が話を続ける

『まあ確かに美人だったわね!しかも感じがよさそうだし,きっと男女問わず人気出るわよ!もしかしたら由梨ちゃん以上に人気がでるかも』

そんな話をしてると、悠人の隣の席の中山未央が、俊樹、充の二人に自分達の教室に促す。俊樹は未央に

『まだ大丈夫だろ!それよりも未央俺と充の担任誰?生徒会長なんだから知ってるだろう?教えくれよ!あの美人か?』

そう聞くと未央は何かに気付いようだか気にせず話をした。

『残念ね二人の担任は、美人先生じゃないわ!まあ教えてあげてもいいけど・・・・二人の担任が今迎えに来たわよ』

未央が手で人を指し示すと、褐色のガタイのいい男が、教室に入り俊樹 、充の前に立った。

『俊樹、充、信彦が所属するサッカー部顧問兼監督の飯田利幸先生が、俊樹、充の担任よ!良かったわね~』

からかうような感じもみせながらどこか哀れみが、込められてる笑顔で二人に告げると、二人はガックリと肩を落とし二人一緒に机から降り、充が悲しく嘆いた

『何で高校最後の担任がトッシーなんだよ!?最悪だ~』

『そうか充と俊樹はそんなに俺が担任で良かったか、俺もお前らの担任になれて嬉しいぞ!』

『いやいやトッシー充の言葉聴いてた?最悪って言ってたのを俺も同じ思いだし、由梨ちゃんが担任だったら良かったな?充』

何も言わす頷く充。そんな俊樹と充のブレザーの後ろの襟元を飯田が引っ張り二人を強引に連れ出そうとする

『お前らが俺をそんなに大好きなのがようくわかった。今日の練習二人は、特別に外周倍走ってもらうからな!嬉しいだろう?』

二人はあり得ないと文句を言うが、飯田は聞く耳を持たす二人を教室に連れて行った。

『やっとうるさいのが去ったわね』

楓がせいせいしたかの如く言うと未央もその通りという顔をした。

『楓ちゃんうるさいのってひでえ、俊樹彼氏じゃん』

悠人が楓に言うと楓は実にあ っけらかんとしこう言った。

『いいのいいの!これぐらい言ったところで、あいつは気にしないから、それにもっときついこと言ってるから中学の時から』

『中二から付き合ってるんだっけ?まあ長いから言えるんだろうけど、それよりもなんかよく分からないけど、充が可哀想になってきた』

未央が、こう言うと

『確かに!』

悠人、信彦、楓が口を揃えて言い未央が、三人と顔を見合わせたら自然と笑いが起きた。

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好きだから~綴る思い~ 司剣 @ke-007

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