シュガーフラワー・セピア

覚醒。

他誌かに嗅覚がとらえていた蜂蜜の腐臭が記憶にたちまち吸い込まれていく。

天井の低い六畳間。お腹が痛い。切りつけられているように痛い。痛い痛い痛い痛い。

冷たい鉛が腸一杯に溜まっている。激痛。

とにかく痛い。

痛い。

痛いな。

痛痛痛い。

もうなにも考えられない。

死にそう。

死にそうだよ。

だって痛いもの。鉛が糞が身体を蝕んで蝕んで溜まっているんだもの。最後に排泄したのは何時なのか。

痛い。

痛い痛い痛い痛い。

痛いなぁ、死にそう。

死にそうだ。


「痛いなぁ・・死にそうだぁ」

途端。

フワフワフワフワワワワワワワワワワッ!!!

花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花が私の腹から咲咲咲き乱れる。

眼球が震える。痛い痛い痛い痛い、眼球が身体の痛覚が鋭敏に反応していることを伝えるが、私の脳には届かない。

花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花が咲咲咲き乱れ、咲く。

何故か多幸感に包まれている。

いたくない。

いたくないよ。

花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花。ひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひら。

六畳間に、かすかに響くはラフマニノフ二番の、四楽章ファンファンファンファンファンファーレ。

白い満開の花花花花花花花花花が低い天井にひらっひら舞う。

「シアワセシアワセだぁ!!」

花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花に囲まれる。やわやわやわやわらかい。

ししししししししししししししし、しあわせ。

花花花花花花花花花。

花花花花花花花花花。

花花花花花花花花花ああ今日のながい夢は花花花花花花花花花。

花花花花花花花花花そうまとうだったのかもしれないなぁ花花花花花花花花花。

花花花花花花花花花ゆびさきがつめたいなぁ花花花花花花花花花。

花花花花花花花花花花はじゅみょうが短いから花花死花花花花花花。

花花花花花死花花花花わたしは花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花花。

ひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひらひら。


花花花花花花花花花蜂蜜はもうきっと腐りきってる花花花花花花花花花。

花花花花花死花花花花でももういらないなぁ花花花花花花花花花。

花花花花花花死花花死いらないなぁ花花死花花死花死花。


「佐藤はなは、色褪せる」

花花死死花花死花花きこえるはあの優しい虎の声花花花死花花花死花死花。

ねぇ君はなんなんだ。

私虎に記憶ないよ。

「シュガーフラワー・セピア。」

ああもしかして、もしかしてもしかして。

「おやすみなさい」

眼球の裏に闇が貼りついた。

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シュガーフラワー・セピア まぐろどん @haruyagi

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