これがリアル。

名井鬼

1.予想という言葉に余計な期待。

教室が騒がしい。そう明日からこの英修学園高校は文化祭なのである、朝から女どもはキッキャウフフと明日に期待を寄せて、一方男子は担任が来るまでスマホでゲームだ。


俺は栄 桃馬、趣味は人間観察・・・クソキメェ。苗字に『栄』なんて漢字が入っているが、そんな目出度い漢字が人間でもなく、ましてや名前になんて『桃』『馬』だなんて...モモタロウクンモイロンナイミデビックリデスヨ。


ガラガラガラ

「なぁ、二人ばかし手かしてくんねーか?美術部が書いた絵展示したいんだがこういうのってレイアウトのセンスってもんが輝くだろっっ!」


「・・・最後なんで爽やかなのぉ。」

思わず声に出ちゃったごめんねっ!


一瞬にして駄弁っていた女どもは口が凍りつき、スマホを弄っていた男子は瞬く間もないような早さでスマホを机の引き出しへ滑り込ませた。


『ウワァ、ナンデアイツキテンダヨ...』俺の回りの奴らは口を揃えるかのように同じようなことを漏らした。そう、こいつは体育科の神次 大清だ。

俺は思うのだ!大抵の学校の体育科教師にある共通点だ、香水のにお...いや撤回撤回、絡まれると後先が見えないくらい面倒なことになるということだ。ソウナラナイトイイケドネ。


「んー名乗り出るやつは居らんのか...仕方ない、こうなったら...栄 桃馬、星 芽伊。頼んだぞ。」

「準備ができたら器具庫まで来るように。」


ガラガラガラ、ガタンッ


「もぉぉぉ、ダルいよぉ・・・。」


あいつが喋る。


俺もたぶんあいつと心情は一緒だろう。


「チッ...........。」


俺も舌を上顎で弾く大技『舌打ち』をしてあいつの反応を待った。


「はぁぁ...なんでキミなのぉ、まぁいいや桃麻クン早く行こぉ。」


「う、うううううんっ行こう!行こうかっ..。」

コミュ障爆発させたった~~~!!ハァ。ま、まぁ少しはあいつ顔はいいから許す・・・。


俺とあいつは廊下にでて歩き始めた。

ん?うんんんんんんんんっ!?これってもしかして昔からあるラッキーなイベントが起きる典型的なシチュエーションでは!?


「フ、フフッ・・・・。」


ヤバい声に出た....。


「なにニヤニヤしてんの?キモッ。」


真顔で『キモッ』って言われちゃったよ、もう僕心壊れて泣いちゃうよ!


『『『『ヴ、ウゥゥゥゥ、Oh...My heart..』』』』


『誰かっ!!栄軍曹が!メディック!メディィィィィィック!!』





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