第2話 鳴き声の正体

 その鳴き声を発したのは巷で有名ないじめっ子カラスの声であった。同じ歳でありながらも、体格はひとまわりも違う姿をしていて、いつも自分のまわりに取り巻きをつれていた。

その頃、カラスの住む土地は過疎化が進み子どもが少ない状態が続いていた。その環境のせいか、カラスはいつも一人で遊ぶことが多くなってしまったのである。

 

 あれは、何ヵ月も前の出来事であり嫌な思い出でもあった。

 

 巣から少し遠い公園でカラスがいつものように一人遊びをしていたときに、近くの青々と葉が茂る大木から鋭く渇いた鳴き声が聞こえてきた。あまりにも大きな鳴き声であったため、少し驚きながらその大木の方に顔を向けると、黒々しい羽を纏い自分と比べると比にならないほどの体格であり、あの独特な鳴き声を発したカラスが一羽。そのカラスを取り巻くように数羽の個性的なカラスたちが木の枝に佇んでいた。

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からすと子ども S.y @SOU_ZOUKEI

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