ノブ、ヒデのラジオ相談室

 ラジオから軽やかな音楽が流れる。それに合わせて重々しい口調とやや軽い口調のMCが聞こえてきた。

「こんばんわ。ノブのラジオ相談室の時間じゃ」

「相方のヒデです。皆さんこんばんわー。ノブさん。よろしくお願いします」

「うむ、では今宵も皆の悩みに明確に答えようではないか」

「はい、ばっさり言っちゃいましょー!」

 がさがさとはがきをめくる音が聞こえる。


「はい、では一通目。米国在住のタロットさんからです。何々……ロケット野郎が俺に逆らいます。どうしたらいいでしょうか?」

「ふむ、武力行使しかあるまい」

「ちょ!? ノブさん、それは短絡的では?」

「言って聞かせてわからぬ輩は存在する。まあ、言葉を尽くした後は拳しかあるまいて」

「ふむ、深いですね」

「まあ、あれじゃ。いざとなれば我も助力を惜しまぬとだけ言うておこうかの」

「はい、意味深な言葉でした。ありがとうございます!」


「では次行ってみましょう。ふむふむ……旦那が今度生まれてくる娘にXX子みたいな名前を付けようとしています。わたしはころんちゃん? 当て字で多分そう読むと思うんですが……、みたいな名前にしようと思っていて、喧嘩になっています。旦那に古臭い名前をあきらめさせる方法はありませんか?」

「タワケが!」

「おっと一言でぶった切りましたね」

「あほらしすぎるわ。まず貴様自身がそうじゃの、ポチとか犬猫のような名前に改名してからやれ」

「ほう、すなわち呼ばれる方の身になれと?」

「そうじゃ。そもそも、子という字には一と了という部分からなる。その子が生涯を全うできますようにという意味を含むのじゃ。それに今は元服がないゆえに、最初に付いた名前が一生ついて回る。自らが誇りに思えぬ名を付けられてみろ。それこそ一生に影を落とすわ」

「おお、素晴らしい。やっぱ息子に奇妙とか茶筅とかつけちゃだめですよね。あと五徳とか」

「ぐぬ、ヒデの言う通り……じゃ」

「まあ、昔は子供をたくさん産めますようにと犬と名付けられた姫君もいましたし、価値観の違いってあると思いますが」

「うむ、そうじゃのう。まあ、それこそ元服制度を復刻させるか? 成人の際に自ら名乗りたい名を名乗れるようにする。なんかもうあほな名前が流行って居るようじゃしな。愛保らぶほとかお前を仕込んだ場所だよとか言われてからかわれるに決まっておろうに」

「ま、まあそういう意見もありそうですね。元服制度の復刻、いいかもしれません」

「まあ、そこまで形式ばるのでなく、成人などをきっかけに諱を付ける制度はありかもしれぬなあ」

「子供とペットを混同する阿呆がこれ以上増えないことを祈って」

「うむ」


「さて、それではお時間です」

「今日も有意義な議論が……できたのかのう?」

「それはリスナー様が判断されることです」

「うむ、そうじゃの」

「では、また来週、このお時間にお会いしましょう」

「著作、政策は内閣府じゃ。また来週!」

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