死と不死の距離

郁崎有空

第1話

 首に一眼レフカメラを提げ、重めのリュックを背負いながらも、わたしはついにこの場所にたどり着いた。

 必死の領域を超えるとひどい目に遭うと聞いた。しかし、死ぬ以上のひどい目など知らない十四のわたしにとってはなんの脅しにもならなかった。

 元から、故郷を離れて見た広い世界を写真に収めたかったこともあり、だからこそ親の目を盗んで必死の領域に踏み込んだ。大人になれば他の国にだって行けるだろうが、必死の領域となるとそうはいかない。あそこは現状、大人になればなるほど踏み入れられなくなる場所だ。

 それは何故か。もうすぐ戦争が始まるからだ。死ぬ種族と死なない種族。必死の種族と不死の種族による、イビツな戦争が。

 だから戦前の今のうちに撮らなければならない。この機を逃せば、次来た時には焼け野原と廃墟を撮ることになる。そんなもの、撮りたいはずもなかった。



 有刺鉄線を超えた時に食い込んで出来た傷がようやく癒える。再生するとはいえ、やはり痛いものは痛い。

 廃墟が崩れて出来た瓦礫は未だ残っている。かなり錆び付いた油圧ショベルが蟹のハサミみたいな圧砕機を付けて、いくつか鎮座している。戦場カメラマンというわけではないが、せっかくなのでカメラを構えて撮ってみた。

「いやだなー……確かここ、マスクがないと口の中がザラザラになるんじゃなかったっけ? 鼻も詰まりそう。だから、なるべく通りたくないけども」

 こういう時に防塵できるガスマスクが欲しかったが、十四の子供が家出する時に用意周到にガスマスクなど持ってくるわけがない。確かに家にはあったが、あれは別の用途のものらしいからだ。なにより父親のものだから、どのみちばっちいので使わない。

 いや、廃墟の中に入るとは決まってない。入らなければ粉塵はまだマシなはず。あれっ、粉塵って外にいればまだマシだっけ。風に飛ばされるから何も気にする必要がない。そうだ、廃墟の外で人を探せばいいんだ。

 わたしは周囲に気をつけながらも、整備されてないアスファルトをジャリジャリ踏みしめる。都市部からだいぶ離れているうえに、死のある彼らはあまり踏み入れたくない場所だ。だからここはもう彼らには棄てられてるはずで、取り残された一部の人たちがここに住む。

 都市部には数日かかるので、どのみちここらで停泊して色々撮っておくつもりだ。

 歩き進めるが、なおも廃墟しかない。横で妙に粉だか石だか——もしかしなくてもコンクリート。もうすぐ崩れるのかもしれない——がパラパラ降ってくる気がする。崩れでもしたらどうしようかと今更困ってきた。

 死なないとはいえ、瓦礫に埋もれたら流石に痛いしカメラもオシャカと化す。今更ながら、死よりひどい目というのが何か分かってきて、ホームシックになった。

 廃墟をカメラに収めても、別にわたしは廃墟マニアではないので正直無駄でしかない。腕時計を確認する。そろそろ昼頃だが、ガタガタの道路の真ん中でひとり寂しく飯を食うのもなんかあれだ。正直歩き疲れたし休憩も兼ねたい。死ななくても疲れるものは疲れる。

 ひとりでダダでもこねたくなった時、廃墟から出てくる影がひとつ。わたしはすぐさま手を振って声をかける。

「すみませーん!」

「なんでしょう?」

 姿を見ると、それはわたしと同じぐらいの背丈の髪の長い少女だった。手にはショットガンを持っている。

「わたし、ちょっと旅をしてるんですけど」

「旅人さんですか……」

「今から何をするつもりで?」

「——別になんでもいいじゃないですか。あなた都市部の人でしょう。都市部の人が何の用ですか? 答えによっては……」

 少女がショットガンを向ける。人生でショットガンを突きつけられた経験など、なかなかにできないエキサイティングなものだと思う。こういう時、相手に殺意を向けられるのが必死の種族特有のものらしい。

 撃たれたら治るけど流石に痛い。わたしは命を請うよう反射的に手を上げた。

「違う違う違います。わたし、この国の写真を撮りにきた隣国の人です。ショットガン効かないスーパーマンです。撃てども撃てども無駄撃ちなのでやめましょうね」

 映画で見るような愉快な冗談っぽく言ってみたが、言った後で自分で意味がわからなかった。

「……本当に?」

「ガスマスク持ってないしね」

「まさか自爆特攻とか?」

「自爆特攻ならわざわざひとりで来ないよ。だいたいね、こんなチンケなとこで自爆してどうすんのって」

 ショットガンが下ろされる。しかしショットガンなんて何に使うのか。カラスを撃ち落とすとかかな。そういえばここら辺ってカラスいたかしら。

「どうせだし案内しますね。旅人さんが不死の種族ってのもここの人には黙っておきます。その代わり、ひとつ手伝ってくれませんか?」

 断れば何か起きるような力強い目つきで少女が請う。どのみち断る気はなかったので、快く頷いた。

「構わないよ。写真いっぱい撮りたいし」

「それはよかった。わたし、若葉華わかばはなって言います」

「わたしは蒼井樹あおいいつき。少しの間だけど、よろしく」

 わたしは手を差し出す。華は少し戸惑いながらも銃把から手を離し、わたしの手を握る。その手はなにかたくましく、わたしの手にじんと温もりが伝わってきた。



 華は見すぼらしい格好でありながら、自分が同年代で見た誰よりも立派に生きている。わたしはそんな印象を受けた。

「ねえ、なんでここに来たの? こんな国よりもっといい国あるでしょう?」

「今撮っとかないと、次撮れるのは焼け野原だろうからねぇ。わたしは別に戦場カメラマンになりたいわけじゃないの」

「国境越えるなんてデンジャラスなことしてまでやって来ておいて何言ってんの」

「でも撮りたいんだ。この辺で出会ったかすかな幸せを。幸せだけ撮れればいい」

 そう言ってわたしは華にカメラを構えてシャッターを押す。突然カメラを向けられて、少し動揺したような表情が撮れた。

「いい表情!」

「そんなわけないでしょ! それ消してもう一回!」

「嫌ですー。撮った時点でわたしのものですしー」

「何その理屈! 今の無しでもいいでしょ! ねえ!」

 こんな楽しい気分は初めてのような気がする。二年前、友達のいなかったわたしに父が買ってくれたカメラ。

 貰ったはいいけど、成長するにつれ両親が段々わたしに興味を失っていくように思えて、撮っても見せる相手がいなかった。撮る相手はいつも人じゃない草木や景色や物。

 幸い、特にイジメは起こらなかったけど、同時に友達と呼べる人すらもいなかった。

「しょうがないなぁ……」

「消す気になった?」

「……ほれ。渡すから自分の消したいやつ消してよ」

 わたしがカメラを押し付けると、華はきょとんとした。

「いいの?」

「うん。どうせ写真撮っても、見てくれる人いなかったし。全部消しちゃってもいいよ」

 操作方法を教えて写真を見ていく。華は探していた自分の写真を見ても、結局消さなかった。その代わりに、今まで撮った色々な写真を見ていった。

「この猫は?」

「マンチカン……だったかな。ここの猫は野生のやつくらいしかいなさそうだし、多分都市でないと見られないんじゃないかなって思ってるんだけど」

「……綺麗な花!」

「チューリップだよ。野生でチューリップ咲いてるの見たことないし、ここらへんのチューリップはラフレシアにでもなってるのかな?」

「ラフレシア?」

「ごめん嘘ついた。ラフレシアとチューリップは別物だよ」

 いまいちピンと来てない顔。それもそのはず、難民がこんなところに植物図鑑を持っているはずもないのだ。物心つく前からここにいたのなら、知らなくてもおかしくない。

 自分の撮った写真を素直に喜んでくれる。そんなことでしかないはずなのに、わたしには嬉しくてたまらなかった。

「そろそろ行こう。このままじっとして、廃墟の瓦礫で埋もれるのは勘弁だよ」

「もうちょっと」

「写真見ながら歩いてていいから」

「うん」

 華がカメラを持って立ち上がる。歩きながら写真を見ていく彼女に、わたしは苦笑する。

「いや、案内してよ」

「あっ、そっか。ごめん。カメラ返すね」

「また落ち着いた時に見ていいから」

「うん。ここらへんでよく人が住んでることが多いかな。向こうが闇市。ここ仕切ってる人たちが、運送用のトラックとかドローンを襲撃して中のものを売ってるの」

「そういうのは別に……」

「でも毎回お肉売ってたりするんだから! 正直食事には困ってないよ!」

 毎回トラックと肉を強盗されて、お肉屋さんも難儀だと思った。まあ知らないけど。



 暗がりの敷地。壁はほとんど崩れていて、風が吹き抜け放題。床と天井と柱はコンクリートで、ひび割れがひどくて心配になる。

「ここ、わたしの見つけた秘密基地なんだ。それじゃご飯食べよ」

「尻が痛くなりそうだなぁ……吹き抜けだから秘密でも基地でもないし」

「いいから! 写真見せて!」

 わたしは華にならって、しぶしぶ硬い柱に背を預ける。リュックからスティック状の携帯食料を取り出し、袋を裂いて口に入れる。

 華もポケットから干し肉を出して噛み始める。

「向こう側の人間も大した食事じゃないだろ?」

「うーん……別に、食事できれば何でもいいかな」

「そっか」

 わたしは食べさしの携帯食料を華の手に押し付け、またカメラを構える。

「はい笑って!」

 また困ったような表情をしたが、すぐに笑顔になる。わたしとは違って、幸せというものを知っているのだ。なんか悔しくもあり、そんな華にわたしは憧れみたいなものを抱く。

「はい、チーズ!」

 指でしっかりシャッターを押す。

 また一枚、カメラで彼女の笑顔を撮れた。それが何か嬉しくて、ずっと見ていたくなる。

 華の写真をぼうっと見ていたところで、わたしの口に何かが押し付けられた。干し肉だ。

「さっきのお礼に!」

「お礼?」

「携帯食料食べちゃったから……」

 まあいい加減飽きてたし、だから押し付けただけなんだけど。そんなんで気に入ってくれて嬉しくなった。

 また華にカメラを渡し、わたしは干し肉を噛んでいく。塩味がなく、あまりの味の薄さに削ってないケバブを丸ごと食べたくなる衝動にかられた。でもあれ、美味しいのは表面だけな気がするけど。



 途中から話すことが浮かばず水筒の水ばかり飲んでたら、トイレに行きたくなった。しかしこんなところにトイレなんかあるわけないだろうなぁ。あったとしても仮設だし、ろくに清掃されてないだろうし。

 たまらず立ち上がると、隣で暇そうにしていた華がこちらを向いた。

「出しに行くの?」

 出しに行くってなんだ。トイレとかお化粧とか小とか大で言いなさい。

「そんなところかな」

「ついてくよ」

「えっ、いいよ別に。恥ずかしいって」

「いやでも……」

「いいってば! 人が近くにいると出せないの!」

 なんかちょっと熱くなり、言葉がきつくなってしまった。華は少し怯えた様子で縮こまるのを見て、わたしは構わず外に向かう。

 コンクリだと跡が残って嫌だし、出来れば野っ原かなぁ……と思いながら日向に出る。何度か見回して人がいないのを確認してジーンズとパンツを下ろし、事を済ませる。ちなみに今回は小だけだった。

 やはり見られたくないものは見られたくない。人間の中で一番みっともないからだ。

 どうにか落ち着き、ジーンズを上げようと立ち上がるところで、囲む影があった。周りには不潔で屈強な体つきをした若い男たちがいた。

 なんでこんな奴らがいたのに気づかなかったのかと後悔するばかり。

「あんた、都市部の人間か?」

「まあね。それで?」

「そっかそっか。それはそれとして不幸だったなぁ!」

 ジーンズが足にかかってて身動きの取れないまま、草っ原に突き飛ばされる。尻餅をついたところで、男たちはこぞってズボンを下ろし、いきり勃つそれを取り出した。

「やだ、やめ——」

「そんな無防備なカッコで出てきておいて、文句なんか言えんよなぁ? それじゃあ」

 男は服の中に手をまさぐり、しゃがんでそれをわたしに見せつける。なんの準備もなく赤く腫れたそれをわたしの恥部に押し付け——ることなく、男の顔がみっともなく破裂し血が飛んだ。

「死ね!」

 声の先を見ると華がショットガンを構えていた。次々と男たちは狙われ、五人目辺りから残った奴らがズボンを上げて退散する。

 わたしは急いでズボンを上げて身だしなみを直し、服の中の男の手を振り払った。服と顔に男の血がべっとりついているのがショッキングだったが、先ほどに比べればまだ受け入れられた。

「よくあることでね。誰かが武器持って見張ってないと、どこから嗅ぎつけたのか狙いに来るから」

「そうなんだ……ついてってもらえば良かったね……」

「うん。だから気付かれないようについていったんだけど、ちょっとどのタイミングで狙おうか考えてて……」

「……ちなみに、どの辺りから見てたの?」

「ズボン下ろしたところからかな」

 なにか恥ずかしくなって顔をそむける。お嫁に行けなくなるというやつだった。別に問題ないはずなのに、わたしはどうしてもこうしなきゃいけなかった。

 いっそ、華に嫁いでも良かった。責任みたいなものだ。まだ会ってそんな経ってなかったけど、彼女とならずっと隣にいてもいい。そんな気がする。

 でも、そんなものは叶うはずもなく。結婚した二人にある日突然赤ん坊が降りるわたしたち不死の種族とは違い、必死の種族は性行為と呼ばれるものをしなければならなかった。さっきの男たちがわたしにやろうとしていたことだ。

 華がこんな世界にいるのだと思うと、わたしは嫌だった。彼女もまた、いつかあの男たちに股を開くことになり、誰かの側につくことになるのだろう。一生わたしの側につくことはない。

 わたしが華を奪ってしまえればいいが、必死の種族は生産性のない愛を許容できる状況でもない。

 必死の種族は、日に日に不死の種族に駆逐されているからだ。



 闇市、人身売買、牛の頭を飾った精肉店、芋虫の串焼き、見すぼらしい難民たち。

 正直なところ、撮りたいものではなかったが、華は何かと説明するごとに幸せそうな顔をしていた。だから、その瞬間を逃さないよう、どうしても撮りたくなってしまう。

 わたしの抱いたこの思いはきっと、伝えた瞬間消えてしまう。シャボン玉の恋、とでも言うのかな。

 そっか、これが恋か。

 先に立って案内していた華が振り返る。

「どう? いいもの撮れてれば良かったけど……」

「——うん」

 二度と撮れない思い出を撮れた。わたしにはもう、満足だった。

 だから最後に。

「ねえ」

「ん? 何?」

「……最後にもう一枚、いい?」

「いいよ」

 華はわたしに向かって笑顔を作る。わたしは華の隣に行き、紐を首から外してカメラを自分に向ける。

「ツーショットってやつ。そういえばわたし、自分を撮った経験がなくて」

「大丈夫? 腕プルプルしてるけど」

「いや、こういうのって三脚とか使えばいいんだけどね。人の写真なんて撮る機会なかったから。ましてや、自分なんて」

 片手で持つカメラは意外と重かった。ピントとか大丈夫かな。

「でも、わたしなんかでいいの? 初めてのツーショット? ってやつなんでしょ?」

「いいよ。だって最初で最後だと思うし、それにわたし、華のこと——」

 シャッターを切る。伝えたくて、伝えたくない言葉をかき消して。

「わたしのことが、なんて?」

「いや、何も」

 この言葉はなかったことにしていい。別れくらい、お互いに幸せでいられるよう。



「バイバイ」

 二度と会わないだろう相手にする挨拶を思い浮かばず、ありきたりに交わした最後の言葉。

 あれから十年が経つ。

 わたしは変わらず友好関係が上手くいかず、カメラで何かを撮り続ける毎日だった。あの日撮った写真はプリントして、わたしだけのアルバムに入っている。

 周囲の方はどうか。悲しいことに、戦争は起きてしまった。わたしの後に国境を越えた不死の種族の子が、必死の種族の子をこちら側に持ってきてしまい、それがバレたのだ。必死の種族の子は拉致監禁され、戦争への起爆剤として処刑された。当時としては、「一歩間違えれば華もこうなっていたかもしれない」と、他人事とは思えず冷や汗をかいていた。

 その映像はネットなどのあちこちで放映され、必死の種族はテロ行為を開始した。

 ここ十年で知ったことだが、必死の種族もまた、トラックの運転手をひっ捕えて闇市に売っていたのだ。

 牛の頭を飾っていた精肉店。見た当時も嫌な予感はしていたが、あれは自分と同じ不死の種族だったのだ。

 もちろん、必死の種族に勝ち目はなかった。拉致した不死の種族に爆弾を埋め込み、仲間と思わせて近づけ、爆破。これで必死の種族は不死の兵士を拉致し、洗脳し、新たな特攻を仕掛けさせる。そうしていくうちに、不死の種族はついに、必死の領域を爆撃した。

 わたしは戦場カメラマンとして、戦地に赴くことになった。それは、幸せなものばかり撮っていくというスタンスがやっていけなくなったからだ。だからわたしは、もう一度華を見つける。見つけたらどうするか、そこまでは考えてないし、もう誰かと幸せになっているかもしれないし、下手をすれば——。

 嫌なことを考えて眉をしかめてしまうのが窓ガラスに映り、その考えを振り切った。

 車の中は、まあ面白くなかった。隣国ということもあり、飛行機って距離でもなく、電車も繋がってなく、こうして軍人さんに混じってデコボコ道に尻を痛めるしかなかった。

 隣に座っていた、体つきの良い中年の軍人さんが話しかける。

「しかし、よくこんなの引き受けましたね。まだ若いお嬢さんには戦地は危ないんじゃないですか?」

「死ぬより危ないものってあるんですか?」

「そら……奴らの性的な慰みものだとか、洗脳して特攻だとか、死にはしないけどいい気持ちはしないことだらけですよ」

「ああ……中学の頃ですかね。難民居住区に行きましたが、綺麗なままで帰ってきたことあるんです。初めて奴らのイチモツにショットガンを撃った感触はたまりませんでした」

 とんだ嘘っぱちをつくと、軍人さん達は揃って怪訝な顔をした。こうでも言っておけば舐められる心配もない。不死の種族にも通じるジョークでもあり、死なないからこそ余計に痛いとイメージできる。

 華は今、どうしてるのだろうか。わたしが気がかりだったのが、そのことだった。

「……すみませんでした」

「あと、人の干し肉を食べました。味のないビーフジャーキーで、正直美味しくはなかったですね。やはり肉は味付けですよね」

「もういいです。勘弁してください」

 ついに苦笑で制止された。暇つぶしにはもってこいだったが、仕方ない。

 現地に着くまで、お土産として華に見せたい写真を確認していくことにした。

「また、いつか」

 華が最後に交わした言葉。その言葉を信じたかった。

 たとえ、この思いがわたしだけのものでも。

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死と不死の距離 郁崎有空 @monotan_001

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