第3話 名無氏と名無死
大きいテーブル、その回りには7つのイスがある。イチがナナに目配せをする、「座って、座ってと」ナナに手を引っ張られる。これキミの椅子。と指を指す。イチが車イスでテーブルにつく。イチがこちらを向き話し出す。
「話してあげよう、僕らLNCと2つの名無しについて」
…2つの名無し?
「僕たちは、君と同じように突然名前と一部の記憶を失ってしまった。」
でも名前あるじゃないかと頭で考える。
「そうだね、僕らの名前はロストネームナンバーで決まってる。」
また心を読まれた。
「僕は一番目に名前を失った、だからイチ。ファーストと呼ばれたりもするけど、ちなみにナナは七番目だ。まぁそのままだけどね。」
「じゃあ他にもいるのか?」
「あぁ、あと五人いる。もう少ししたら会わせるよ」
「まぁあんまり会えない人もいるけどね」と椅子をクルクル回しながらナナが話す。
「まぁその話しも会ってからだよ。」とイチがナナを見る。
「なんで名前を失ったんだ?」
「そうだね、それが1つ目の名無しの話しになる。僕らはある一人の人間に名前を奪われた。それが名の無い氏、<名無氏>だ。」
…名無氏?奪われた?
「そう奪われたんだ、しかしそいつについては全く情報が無い。」
「情報がない?ならなんで奪われたってわかるんだよ。記憶だってないのに。」
「それについては僕に関係する。僕が初めて名前を奪われた時のことなんだ。」そういいながらイチはテーブルを離れ話し出した。
「僕も奪われた時の記憶はない、だが記憶を奪われてすぐ名無氏が直接頭に干渉してきた、そしていくつかの情報を落としていった。」
ナナはうつむき出した。
「情報?」
「あぁ、いくつかの情報があるんだが今一番重要なのはもう1つの名無し、名の無き者の死、<名無死>について。」
無の無き者の死?
…死?
「そう、死だよ。名無氏は僕の頭の中で、こう語った『君ら名の無き者達は、名前を奪われた反動で一つの力を得る。しかしもう一つの反動、死期が決まる。それは、半月だ!!』とな。」
…常識は捨てた、俺はもう前だけ見るつもりだった、だけどその一言が頭の中を支配した。
…死、半月?
嘘だろ
「すまない、嘘じゃないんだ。」
体が硬直して、頭の中を支配した言葉さえ消え真っ白になった。
Lost Name 朝花倉 @Yutokaza
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