閑話787・『きくたおとし』

すてられて。


きくたにすてられて。


それからのことはぜんぶあいまいで。


きづけばおれはおれになっていた、そうだよ。


きくたがぜんぶぜんぶわるいのに。


「おれだけこんな」


こんなふうにきょうもきらわれてさされておいしくたべて。


でもおなかにあなあいたからでちゃうし、たべたえるふにく。


「こまった」


くってもこれではおなかがふくれない。


ぺちゃんこのままだ、ちなみにこれもきくたがわるい。


「ばぁかばぁか」


きくたのばぁか。


きくたのあほんだら。


きくただいすき。


いたい。


「どっちがいたい」


さされたおなかがいたいのか。


なんともないむねがいたいのか。


すてたくせに。


すてたのに。


「すてたのにおれにすかれてるくせに」


うらんでいるのか。


にくんでいるのか。


~のか、はぎもんとよそうでしかない。


「あ」


ほんにんにきくゆうきはない。


きこうともおもわない。


もうおれのいちぶ。


「にがさない」


このおなかのあなからおちるにくのようにはいかない。


にがさない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る