閑話709・『あめやまぬ2』

湖畔の街に降り注ぐ雨は意味が無い、全ての草花は空想の産物で水を必要としない。


心の色を映し出す空が雨雲で覆われている、つまり落ち込んでいる。


憂鬱だぜ。


「あのう」


「ぷい」


「いや、反応してる時点で可愛いんだけど」


「うっせぇぜ」


「あ」


「ふん」


部屋の隅で丸まっていると半身に話し掛けられる。


面倒、イライラする。


「何に怒ってるのかなァ」


「怒ってねぇぜ」


「いや、空模様を見れば一発だけど」


「………」


「凄い雨」


ざーざーざー、勢いは増すばかり。


心の中を隠そうとしても投影されて空に影響が出る。


無駄。


「何か嫌な事でもあったかな?」


「――――――――――」


「どうだろ」


「教え無いもん」


「ふぅん」


ざーざーざー。


ざーざーざー。


ざーざーざー。


「おーい」


「………」


「雨、止まないね」


「………」


病む。

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