閑話708・『あめやまぬ』
湖畔の街に降り注ぐ雨は意味が無い、全ての草花は空想の産物で水を必要としない。
心の色を映し出す空が雨雲で覆われている、つまり落ち込んでいる。
あーあ。
「あのう」
「ぷい」
「いや、反応してる時点で可愛いんだけど」
「うっせぇぜ」
「あ」
「ふん」
部屋の隅で丸まっている半身はトゲトゲした感じ。
ハリネズミかな。
「何に怒ってるのかなァ」
「怒ってねぇぜ」
「いや、空模様を見れば一発だけど」
「………」
「凄い雨」
ざーざーざー、勢いは増すばかり。
心の中を隠そうとしても投影されて空に影響が出る。
無駄。
「何か嫌な事でもあったかな?」
「――――――――――」
「どうだろ」
「教え無いもん」
「ふぅん」
ざーざーざー。
ざーざーざー。
ざーざーざー。
「おーい」
「………」
「雨、止まないね」
「………」
止むまで一緒にいるよ。
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