閑話696・『とうぶころころ』
風で首が転がるものかと罵るが、実際には突起を無くして僅かな斜面があれば風の力で首が転がる。
ころころころ、それは手足どころか胴体を失っても逃げようとする意思のようだ、ごはん。
逃げるなご飯。
「飯よ、去るな」
『おむすびころころ』
「殺殺(ころころ)はしたけど」
『そのコロコロじゃないよ』
「まてまて」
『追うんだねェ』
「そりゃメインだからな」
脳味噌が一番美味しい、そんな事はわかりきっているぜ。
でもその分重量があるので転がり出したらその勢いは中々のものだ。
「頭部がコロコロ」
『どんぶりこ』
「斜面を駆ける様は悪夢だぜ」
『斜面を駆けなくても悪夢だよ』
「いや、駆けるから悪夢だろ」
『いや、生首の時点で悪夢だって』
「?」
『疑問を浮かべるかなァ、そこで』
「?」
『どこが疑問?』
「死んだのが動くから悪夢だぜ、死んだまま生首で放置されてるのは悪夢じゃないぜ」
『あー』
「だよな?」
俺は間違って無い。
間違っているのは転がる生首。
『もうそれでいいよ』
「?」
わけわかんないぜ。
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