閑話695・『お腹は鳴る、生きてる2』

ぐるるるるるるるるるる。


毎度の如くお腹が鳴る、そう、毎度の事。


「はらへった」


『お腹が鳴ってるもんねェ』


「下品な音だぜ」


『そだね』


「呆れるぐらいに」


『そ、そだね』


「放屁の音の如く」


『わ、私じゃないからねっ』


「お前も俺だ、下品な腹の音の女だぜ」


『うぅぅ』


「くっくっ」


安宿の木の板を組み合わせただけのようなベッドの上で罵る。


場所も言葉も汚いぜ。


へへ。


「げひんおげひん」


『わ、私はお腹空いてないもん』


ぎゅるるるるるるるるる。


『うぅうう』


「はらへった」


『うぅう』


「いいじゃん」


『うぅ』


「下品でも上品でも俺は私だぜ」


『うぅううう』


「聞いてる?」


『ううううううう』


「お腹の音より唸り声の方がうるさいぜ」


どっちも俺とお前の音だぜ。

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