閑話675・『手刀するし2』

何処までも広がる青空は清々しくもあり何処か虚空だ。


空だから……空虚とも思える、それは偽物だから、永遠の湖畔の街の空。


丘の上に寝転がるキョウ、太ももが温い、暑い、蒸れる。


くふふ。


「あちゅい」


「なら膝枕止める?」


「止めない」


「我儘だなァ、よしよし」


「撫でるな、犬じゃないんだぜ、気安い」


「膝枕する関係で気安いも何も無いけどなァ」


「ふん」


「自分自身だし」


「ふんふん」


「――――怒っている鼻息だと思ったら匂い嗅いでるんだね」


「ふんふんふん」


「止めようね」


「ひぃ」


首元に触れた手刀、軽く滑らせる。


汗ばんだ皮膚に良く馴染む。


「ふう、油断も隙も無いんだから」


「そっちは油断と隙しか無いぜ」


「自分の匂いを嗅いで喜ぶとは思わないでしょう、くふふ」


「手刀を首に固定するなし」


「するし」


「―――――――すまん」


「するし」


「うぅ」


「する」


「死にたくねぇ」


暫くガタガタ震えたけど眠くなったのか寝ちゃった。


もう。


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