閑話673・『鳴る機能2』

お腹が鳴りさえすれば何処からともなく幽鬼のようにエルフがやって来る。


お腹の音にそのような効果があるとはある意味で呪いである、呪いだけどお腹は満たされる。


「これはやはり――――呪いだぜ」


『どうしたの急に、話してみな』


「お腹が空かないとこの能力は発動しない」


『うん』


「お腹が少し空いたなぁ程度では無理」


『うんうん』


「辛くね?」


久しぶりのエルフに紅潮している俺、多分真っ赤、顔真っ赤。


血でも真っ赤。


「つまり俺が言いたいのは常時お腹を鳴らせたい」


『可愛く無い』


「ポンコツの玩具みたいで可愛いだろう」


『そもそもポンコツの玩具が可愛く無い』


「うう」


『そもそも常時お腹が鳴るって―――曲芸じゃん』


「曲芸いいじゃねぇか」


『良く無い』


割と厳しいぜ、少し落ち込みながら完食する。


食欲は落ちなかったぜ。


「ふう、美味しかった」


散々たる状況。


『まあ、お腹を鳴らせるのは諦めな』


「仕方ねぇか」


『そう、仕方無い』


「吐いたら鳴るかな」


それなら無限に食える。


しあわせ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る