閑話671・『木の実で反省2』

あれだけ注意するように言ったのに餌を口にするのをついつい忘れてしまった。


エネルギーを使わないように木の根に腰を預けながら睡眠を貪る、餌が来るまで貪る。


「うぅううぅううううう」


『ばぁか』


「知ってるわい」


『エルフ食べなきゃ』


「うぅ」


目がチカチカして奥歯が震えて寒気が消えなくて眠い。


状況は最悪なのに珍しく意識は正常だ。


「うううう」


『はぁ』


「なんでこんな事にぃ」


『エルフ食べないからだよ』


「ううう、どうしてこんな」


『え、聞いてる?』


餌の気配は無い、そもそも大型の動物の気配も無い。


何も無い。


「うううううううう」


『ほら、木の実でも食べて』


「エルフ食べたい」


『無いものは無いでしょう?』


「エルフ捕まえて来て」


『体は一つだから無理』


「ちっ」


『舌打ちは下品』


叱ると再度聞こえない様な小さな舌打ち。


そして食事を始める、木の実だけどォ。


「もぐもぐ」


『どぉ?』


「――――――うまい」


お腹が空いてたら何でもねェ。

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