閑話670・『木の実で反省』

お腹空いた。


「うぅううぅううううう」


『ばぁか』


「知ってるわい」


『エルフ食べなきゃ』


「うぅ」


目がチカチカして奥歯が震えて寒気が消えなくて眠い。


それだけだ。


それだけ?


「うううう」


『はぁ』


「なんでこんな事にぃ」


『エルフ食べないからだよ』


「ううう、どうしてこんな」


『え、聞いてる?』


餌の気配は無い、そもそも大型の動物の気配も無い。


何も無い。


「うううううううう」


『ほら、木の実でも食べて』


「エルフ食べたい」


『無いものは無いでしょう?』


「エルフ捕まえて来て」


『体は一つだから無理』


「ちっ」


『舌打ちは下品』


お腹が空いた、木の実はある。


仕方が無い。


「もぐもぐ」


『どぉ?』


「――――――うまい」


何だか敗北した気分。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る