閑話653・『殺しキス2』

餌に様付けされると食べ難い、なので呼び捨てにしろと命じたら舌を噛んで死んだ。


舌を舌の上で転がす、死んだ舌と生きた舌、キョウは悩んでる。


くふふ。


「困った」


『まあ、ねェ』


「呼び捨てを止めさせたいが命じたら死ぬ、んん」


顎に手を当てて思案する、しかし良い答えは出ずに項垂れるだけ。


困ったねェ。


「エルフって思ったより我儘だぜ」


『命令が酷過ぎると思うけどねェ』


「そうか?」


そりゃ奉仕する対象に奉仕の形を奪われたらね。


思考も停止する、舌も噛み切る。


「これだと舌ばかり食う事になる」


『いいじゃん』


「………ディープキスする事と同じ」


『牛や豚の舌が食べれなくなるよ』


「え」


『え』


伝わって無い?


んん?


「食うぜ」


『そ、そぉ』


「牛も豚もエルフも、どの舌もこりこり」


『―――――キスのくだりは?』


「何言ってるんだ」


生理的嫌悪を覚えたんじゃないの?


違うのかな。


「牛だろうが豚だろが」


ああ、なんでもいいんだ。


化け物だもの。

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