閑話654・『わすれたいのにね』

いかりのしょうどうのままにひとをころすと、くいたくない。


いかりのままにころしてもうれしくない、くたくない、いみがない。


どうしてくいたくなくなるか、わからない、でもたべるときはいかりとかいらない。


しあわせがほしい。


『嘘つき』


おれのこえだけどおれのこえじゃない、もっとりちてきなこえ、もっとかしこいこえ、あまったるいこえ。


どうしてうそつき。


『嘘つきだもの』


『けだものだもの』


『でも好きだよ』


うそつきでけだものですき。


いみがわからない、わかりたくもない。


しりたくもない。


やさしくしないで。


『するよ』


『私は自分が大好きだもの』


『私は俺が大好きだもの』


『でもね』


『怒りを否定するのはだぁめ』


『キクタに対する怒りを持続して』


『永遠に憎もうね』


にくむのはつかれる。


もういいのに。


もう。


もう。


『だぇめ』


『ずっと憎もうね』


『ずっとずっと』


『あいつが悪いんだから』


――――もう。

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