閑話652・『殺しキス』

餌に様付けされると食べ難い、なので呼び捨てにしろと命じたら舌を噛んで死んだ。


その舌は硬くなる前に食った、美味しかった、問題はそこではねぇぜ。


畜生。


「困った」


『まあ、ねェ』


「呼び捨てを止めさせたいが命じたら死ぬ、んん」


顎に手を当てて思案する、しかし良い答えは出ずに項垂れるだけ。


困った。


「エルフって思ったより我儘だぜ」


『命令が酷過ぎると思うけどねェ』


「そうか?」


別にそんなキツイ命令では無いだろうに。


呼び捨てにして♪


「これだと舌ばかり食う事になる」


『いいじゃん』


「………ディープキスする事と同じ」


『牛や豚の舌が食べれなくなるよ』


「え」


『え』


どうしてそんな事になるのだろうか、言っている意味がわから無い。


んん?


「食うぜ」


『そ、そぉ』


「牛も豚もエルフも、どの舌もこりこり」


『―――――キスのくだりは?』


「何言ってるんだぜ」


キスは好きだぜ。


幸せになる。


「牛だろうが豚だろが」


関係無いぜ、キスは美味しいもの。

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