閑話639・『下着盗み』

湖畔の街は相変わらず静かで涼しい、永遠の街。


しかし説教も延々と続く、永遠と延々って似てる。


項垂れる。


「うぅ」


「説教じゃないよ、下着を埋める意味がわからないだけ」


「成仏したぜ」


「お気に入り」


「成仏したぜ、お気に入りの下着」


「ああん?」


「ひ」


以前の件でここまで説教されるとは思わなかった、いいじゃん、きっと良い花が咲く。


血塗れだから良い養分になる。


言ったら殺される。


「で、でも死んだエルフの血が付着した時点で」


「盗まれるなって言ってるのォ」


柔らかな容姿をしている癖に辛辣で狼狽える。


俺自身だけどさ。


「ストーカーは下着を盗むだろうに」


「いや、そうじゃなくて」


「?」


「ストーカーの習性は置いとこうよ」


「うん」


「盗まれる事がもう問題」


「………」


「しかも盗まれても狼狽え無いし」


「………」


「女性としてそこは怯えようよ」


「………」


「どうかな?」


「埋めたのを掘り出せって事か?」


小突かれた。

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